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「日本学生支援機構(旧日本育英会)の奨学金返済の滞納者に、機構が一括返済を求める訴訟が激増という報道がありました。’04年度には年間58件だった訴訟が、‘12年度には6千193件と、8年間で100倍以上です」

 

そう話すのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。昨年2月には、奨学金283万円が返済できないと40歳の男性が自己破産した例も。そんな奨学金返済を肩代わりしようという動きが、わずかながら出てきたという。萩原さんが解説してくれた。

 

【1】地方に定住すれば奨学金の一部を補助する自治体

「たとえば徳島県は、『奨学金返還支援基金』を創設。徳島県内で3年以上働いた奨学金返済者が対象で、それ以降も県内で働き続けることを条件に、無利子の奨学金なら返済額の2分の1を、有利子なら3分の1を補助するもの。鳥取県にも同様の支援制度があります。山口県では、大学院修士課程で無利子の奨学金を受けた人を対象に、卒業後10年間で8年以上、県内の製造業に従事すると、修士課程での奨学金は全額補助されます」

 

【2】鹿児島県長島町の「ぶり奨学金」

「地元の鹿児島相互信用金庫は、教育資金を特別金利1.5%で融資します。卒業後、子どもが町に戻ってきたら、利子を含む返済全額を、町と信金、漁協などで作る基金から肩代わりします。ブリ養殖で年間出荷量が約230万本と潤う漁協は、ブリ1本ごとに1円を寄付するなど、地域ぐるみで子どもたちを支えています」

 

【3】返済を肩代わりする企業、メガネ小売りの「オンデーズ」

「’14年12月より独自の社内試験を課し、合格者には奨学金の返済額を給料に上乗せするものです」

 

そもそも、日本の国としての教育費支出は、経済協力開発機構(OECD)加盟の32カ国中、最下位(’12年)。そのうえ、返済不要の給付型奨学金も少なく、教育費は個人に重くのしかかっている。しかも政府は、国立大学を法人化させ、国からの補助金を減らして大学独自の運営を求めている。

 

「一部の人気校や企業連携に成功した大学以外は、今後、授業料などをさらに値上げするのではと、危惧しています。このまま教育費が上がり続けると、子どもを産めない人が増えるでしょう。政府が少子化対策に本腰を入れるなら、教育費にもっと予算を充てるべきだと思います」

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