禊の由来は神話から
禊は、神話の伊邪那岐神(イザナギのミコト)が黄泉の国(死者の国)から戻ってきた時に、その穢れを、竺紫の日向の橘の小門の阿波岐原の海に入り祓い流されたことに由来しています。そしてこの禊により誕生した神さまが天照大御神、須佐之男命、月読命の三貴神!!
水の霊力で心身を清浄にし、穢れたものを洗い流す禊行法。
水の霊力は、日本だけではなくガンジス川の沐浴など、世界中で古くから知られていますね。
この禊行法は、肉体の健康増進や、心身の浄化、神と人が合一するとも言われています。
真冬に行う「寒中(大寒)禊」は、その一年が健康であるようにと古くから各地でおこなわれています。
清浄を第一に考える神道では、神様にご奉仕するにも清浄であることが必須ですので、祭祀に先立ち、神職が心身を清めるために禊祓は行なわれています。
禊は、海、川、禊場などで身を清めます。
私が最初に経験したのは、神職資格の研修時に、明治神宮の杜の「禊場」でした!
禊行法の意味とは?
穢れは気枯れ!
皆さんも神社にお参りいくと気持ちがすっきりする! と感じる方も多いのではないでしょうか。
神社に参拝することは、日常で疲労した心身を癒し、たまってしまった邪気をはらいます。そのことで人は生気を取り戻します。
禊でいう「穢れ(けがれ)」とは、単に「汚れ」だけではなく、古来は、生気が枯れること=「気涸れ(けがれ)」を意味していました。
気が枯れれば生命力が衰えます。そうならないために生気に満ちた自然と一体化し、気を充ちさせ再生させます。
いいでしょう?
生命力の再生が禊!
禊とは、汚れの排除と、衰退した生命力の再生!
これが清浄を一番に重要視する神道の「禊祓」の根本思想です。
祭事をすることにより失われた生命力をみんなで回復することが、共同体においては、「祭り」なのです。
現代、おこなわれている禊の行法は、(1862~1929)という明治時代の神道家が創始したもので、この行法は、神話の成り立ちを再現し復興・実践させたと言われています。現在の神社本庁所属の神職は、この行法で禊をおこないます。
川面氏は、禊について、「禊とは、霊注ぐなり。水を注ぐごとくに、神の霊をわが霊に注ぎ入ることである。『そぎ』とは、剃ぎであり、剃ぎ削ることで、祓い残りのある罪と穢れを、停滞あるところの垢と穢れを、神の霊にて剃ぎさることを意味する」(川面凡児 『日本古典真義』より要略)と、語っております。
ちょっと務難しくなってたかな・・・。
要するに、禊とは、水の霊力により水を注ぐごとくに、神さまの霊をわが身に注ぎ、祓い残した穢れをそぎさっていく・・・肉体の健康、心身の浄化、さらには神と一つになる「神人合一」の行法なのです!!
いよいよ次は、禊って何をするの? です。
プロフィール
川村一代
「女性自身」記者として活動の傍ら代替療法と「癒し」をテーマに
ヒーリング特集を執筆。
2001年『myselfhelp 困ったときに読んでみて』(愛育社刊)を上梓。
2003年、國學院大學神道文化学部入学。専攻は神道と宗教学とスピリチュアリティ。同年米国のヒーリング単科大学BBSH(Barbara Brennan School Of Healing)入学。
2007年3月國學院大學卒業。神職資格授与。6月BBSH卒業。
現在は記者活動と、高知県の権禰宜を務めている。