「韓国ドラマは、時間との戦い。どの現場でも、当然のように徹夜でロケが行われています。長時間ロケにより、集中力が落ちて、事故につながるケースが多いですね」と語るのは『天国の階段』などを制作する、ドラマ制作プロダクション『ロゴス・フィルム』プロデューサーのユ・ハンナ氏。
 韓流ドラマは、クランクイン前には、どの作品も『ドラマ保険』に加入しているという。STARは常に危険と隣り合わせなのだ。今回の『韓ナビ!』では、韓流ドラマでリアルを追い求めるあまり、撮影中に起きてしまった痛~いハプニングをご紹介!
 3月から放映が始まったばかりの『オンエアー』でも、アクシデントが発生していた。「主演のパク・ヨンハ(30)は、サッカー試合のシーンで、ほかの俳優と接触し、足首を負傷しました。スケジュールの都合上、ロケはそのまま続行されました」(韓国ドラマ関係者)
 ハードアクションを自ら演じるクォン・サンウ(31)は、ケガが“宿命”。「映画『宿命』や『マルチュク青春通り』など、ハードアクションの多いロケでは、ケガ続きでした。本来ならスタントマンを使う危険なシーンでも、抜群の運動神経と経験を積んだサンウだから、軽傷ですんだのです。『悲しき恋歌』の廃車に落下する、打撲症覚悟のシーンでも、手のひらを2センチ切る程度でした(韓国芸能記者)
 リアリティを求める現場で、韓流STARはかすり傷程度なら、承知のうえでロケに挑んでいるようだ。「スタントマンなしで、俳優自ら危険なシーンを演じる際、事故が発生する確率が高いですね」と前出・ハンナ氏。
 殺陣や乗馬など、あらゆるシーンを自ら演じた『太王四神記』のヨン様(35)も、相次ぐケガに悩まされた。殺陣のシーンでは、相手の刀で右手人さし指を負傷。乗馬シーンでは落馬。ワイヤアクション中には、空中にぶら下がった俳優がヨン様を直撃して腰を打撲した。「指先にはテーピングをし、鎮痛剤を打ちながらロケを続けていました。靱帯を損傷した左足は、現在もリハビリ中です」(韓国紙記者)
 同作は放映前に、キム・ジョンハク監督が異例の謝罪会見を開くほど、放映が予定を遅れていた。ヨン様は休むわけにはいかなかったのだ。「撮影・編集が、放映時間ギリギリに間に合ったなんて、突貫工事のような話はよくあります。韓国では、よほどのことがない限り、ロケは中止にならないのです」(前出のハンナ氏)
 ただ、ロケを続行できなくなるほどの、大事故に見舞われたケースもある「『神話』のエリック(29)主演の『狼』の事故は、過酷なロケ現場を改善しようという、問題提起にもなりました」(前出の記者)
 エリックは、共演のハン・ジミン(25)を守るために、時速40キロで走る自動車に追突されたのだ!
「幸いジミンは軽傷ですみましたが、守ったエリックは全身を打撲。特に腰や骨盤への衝撃が激しく、椎間板ヘルニアで全治8週間と診断されて、入院を余儀なくされました。エリックの回復を待って、撮影再開の予定でしたが、結局、撮影は中止に。放映は3話で打ち切りになりました」(前出の記者)
 車を運転していたのは徹夜続きの女性スタントスタッフ。疲労のため、ブレーキを踏むタイミングを誤ったという。
イ・ジュンギ(26)はブレイク作『王の男』で、未完成の階段セットに足を挟み、15針も縫ったんです。セットの明かりが暗く、足元が見えなかったそうです」(前出の関係者)
 エリックとイ・ジュンギの事故が発生したのは共に深夜だった。「集中力が切れかけた夜に、大事故につながるケースが多いようですね。時間に追われて、綿密なロケハンや下準備をする余裕がないため、このような事故が起きるのです」(ハンナ氏)
 アクションとは遠い存在に思える『春のワルツ』のソ・ドヨン(27)は、商売道具の顔が危険に晒された。「ケンカのシーンで、ダニエル・へニー(28)のパンチをまともに受けて、頬骨を骨折しました。さすがにロケは、1週間延期されました」前出の記者)
 当時、ドヨンをインタビューした別の韓国紙記者も、こう振り返る。
「『噛むことができないので、完治までの1カ月間の食事は1日3食、お粥でした(笑)。お陰で5キロ痩せました』って、冗談のように話してました。タイトなスケジュールで、睡眠時間を削られ、夜通しの撮影が続いていたそうです」
 過密スケジュールが起因となった例は、まだまだある。
 新人俳優チ・ヒョヌ(23)は、『オーバー・ザ・レインボー』で顔を10針縫う大ケガ。
 チ・ジニ(34)は、崔洋一監督の映画『ス』で、手首の靱帯を損傷。
 チェ・ジンシル(39)は、『私の人生の最後のスキャンダル』でハードスケジュールのため、倒れて点滴を打った。
 イ・ヒョリ(28)は『愛するならば彼らのように』で、ビルの屋上の換気口に挟まって落下しそうになったという。落ちたら最後、まさに“九死に一生”を得た。
「’04年、KBSが国に提出した資料によると、’00年以降に起きた放送事故は28件。そのうち、保険金支給額が数千万ウォン(数百万円)に達する大事故が8件も発生しています。
 コン・ユ(28)が出演した朝ドラ『いつもわくわく』(’02年)では、スタッフが感電死する不慮の事故もありました」(前出の記者)
 華やかに見える芸能界の裏側は、実は“3K”職場。
 STARは、生傷が絶えない状況の下、命懸けで“涙の演技”をしているのだ。

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