「日本の韓流ドラマは、『冬のソナタ』からすべてが始まりました。その後、チェ・ジウが出演した『美しき日々』『天国の階段』、ぺ・ヨンジュンの過去の主演作などが次々と放送されました。ソン・スンホン、イ・ビョンホン、クォン・サンウといった韓流スターも、『冬ソナ』の流れから派生したスターなんです」
そう話すのは、’02年3月に韓国での『冬ソナ』放送終了時、ドラマの打ち上げ会場でぺ・ヨンジュンに突撃取材を敢行したという田代親世さん。そもそも田代さんが韓流作品にのめり込むきっかけになったのは、アジア中でブームを巻き起こした『星に願いを』(’97年)で主役を演じたアン・ジェウクにハマってから。ぺ・ヨンジュンにいたっては、『ホテリアー』(’01年)での“孤独な貴公子”ぶりにすっかり魅了されたそうだ。
そんな、ブームを見続けてきた田代さんに、『冬ソナ』以降に作られた名作を選出してもらった。
『冬ソナ』以降、しばらく純愛路線が続いた韓流ドラマ。そこに新たに登場したのが、時代劇の巨匠、イ・ビョンフン監督の『宮廷女官 チャングムの誓い』(’03年)だ。庶民の女性が王の主治医になるまでを描いたサクセスストーリーだった。
「韓国時代劇のエンタテインメント性の高さと、韓国の宮廷料理や東洋医学を知らしめた作品。何より、当時のキャリア女性を主人公においたところが人気の要因でした」(田代さん・以下同)
時代劇の面白さが浸透し、続いてヒットしたのが『チェオクの剣』(’03年)。当時、韓国はインターネットが急速に発展し、熱狂的ファンがネットに書き込みをするという社会現象が起こった。『チェオクの剣』のヒロイン、ハ・ジウォンが、またも2人の男性の間で揺れ動く役を演じたのが『パリでの出来事』(’04年)。この作品からチョ・インソン、ソ・ジソブというトップスターが生まれた。
「韓国ドラマでよくテーマとなる、貧富の差を題材に描かれたラブストーリー。富める者と貧しき者の間のコンプレックスや愛憎を、緻密な心理描写で紡いでいきます。最後まで見応えたっぷりで、10年たっても、いまだ色あせず、名作中の名作です」
ハ・ジウォン主演作では、『ファン・ジニ』(’06年)『シークレット・ガーデン』(’10年)なども名作だ。『シークレット・ガーデン』でツンデレの御曹司を演じたヒョンビンを一躍、スターにしたのが『私の名前はキム・サムスン』(’05年)。キム・ソナ扮するアラサーの年上女性と、年下の御曹司が繰り広げるラブストーリーは、世の女性たちを熱狂させた。
その後、純愛もの、時代劇、ラブコメと、韓流ドラマの間口は日本でどんどん広がり、『がんばれ! クムスン』(’05年)『家門の栄光』(’08年)などのファミリードラマも増えていった。そんななか、田代さんいわく「韓国ではそれまで数字をとれなかった」ミステリードラマ『復活』(’06年)が高い評価を得る。
近年の秀作としては、名優ハン・ソッキュが、16年ぶりにテレビドラマ復帰した『根の深い木ー世宗大王の誓いー』(’11年)が記憶に新しい。そして、最新ドラマで田代さんのおすすめが、イ・スンギ主演の『九家の書(原題)』(’13年)。神獣と人間の間に生まれた男性と、彼の唯一の理解者である女性との恋愛を描いたファンタジー時代劇だ。
「最初は親の世代から物語が始まるのですが、それがとってもせつなくて。主人公、ガンチの父を演じたチェ・ジニョクは、この作品で大ブレイクしました。日本でも9月28日から初放送されます」