今年注目の新人ガールズグループ・CHERRSEE(チェルシー)が女性自身(5月24日売り・2728号)に初登場! BIGBANGのヒット曲を手がけるなど、K-POP屈指のヒットメーカー「勇敢な兄弟」ことカン・ドンチョル氏が初めてプロデュースする日本発のアーティストとして熱い視線を浴びています。今回、女性自身は、カン氏を独占インタビュー。AOA、SISTARなど数多くのガールズグループを世に送り出してきた名プロデューサーが語るCHERRSEEの魅力とは? ヒット作を生む手法や、作り手から見た近年のK-POPブームについて語ってもらいました。
――CHERRSEEと会ったときの第一印象は?
日本の子たちだなあって(笑)。正直、歌手を目指しているのか、そうでないのか、分からないほど平凡な子たちでした。日本であれ韓国であれ、歌手を目指している子たちが持っている特徴は、表情です。一般人とは表情が違います。服装は平凡でも、目つきや醸し出す雰囲気が違うんですよね。
――そういう表情が彼女たちにもあったということですか?
目は、こんな感じ(力強い感じ)でした。彼女たちからは、勉強をしたいけれど、何を言っていいのかが分からないという印象を受けました。決して、勉強が嫌いなのではない。そういう子たちが集まったグループです。
――彼女たちをプロデュースするにあたって、まず、何から始めましたか?
先ほども話したように、彼女たちの瞳から、「やりたい!」という強い思いが伝わってきました。振付などを難しくしても、きっとやり遂げてくれると思いました。はじめの一週間ほどは見守っていました。本当に狂ったように練習をしていました。家にも帰らず、ほんの少しの休憩は食事の時間のみで、ずっと練習を繰り返していました。
――SISTARなど多くのアイドルのプロデュースもされてきました。ほかのアイドルもCHERRSEEのようなレッスンをされていたのでしょうか? それとも、彼女たちだけが持っている特別なものがありましたか?
CHERRSEE のほうが、SISTARよりも一生懸命に打ち込んでいましたね。切実な気持ちがありました。CHERRSEEは日本人が韓国という新しい環境に来て練習をするので、目の力や気迫が違って当たり前です。
――日本の女の子をプロデュースしてほしいとオファーが来たとき、正直どう思いましたか?
正直にやってみたかったです。’09年、’10年ごろにAFTERSCHOOLをプロデュースしていたとき、日本から作曲の依頼がたくさんきました。私は、デモを送るだけというのはあまりしたくないんです。つまり、プロデュースをするのが好きで、韓国でもプロデュースを多くしてきました。日本への楽曲提供は少し遠ざけていたのですが、今回のCHERRSEEは、日本の女の子たちをプロデュースできるという新たな試みでした。それに、メンバーたちの目を見て、私自身の情熱と欲が出てきましたね。
――ダンスや歌のスキルは、カン・ドンチョルさんが今までプロデュースしてきたほかの歌手たちと同じレベルに達していたのでしょうか?
実力はなかったですね。やる気や、練習してきたというのは伝わってきましたが、まとまりがありませんでした。メンバー同士がまだお互いを理解しきれていないというのもあったと思います。ひとりだけが飛び抜けていてもグループにはなれないですよね。お互いの不足しているところを補うのがグループで、そういう部分を埋めていくためにウォーキングなど基本的な練習から始めました。ダンスは、AOAやSISTARなどを担当した韓国で一流の振付師を起用して厳しく練習をさせました。いまは連帯感が出てきたと思います。
――CHERRSEEの特徴、強みは何ですか? SISTARだったらセクシーさなどが強みかと思いますが。
この子たちはNOセクシーです。多様な音楽やパフォーマンスができるグループを目指しています。ときにはセクシーも必要になるでしょうけれども、今はそういうコンセプトではありません。だからといって、日本のグループの趣向でもないと思います。これまでとは違う、まったく新しいコンセプトのグループにしたいと思っています。
――5月25日リリースのファーストシングル『Mystery』はどのようなイメージで作りましたか?
『Mystery』は、明るく活発な部分を持ちながら、感傷的なメロディーラインと中毒性のあるフックがあります。韓国グループとは比較することはできませんが、しいてあげるとするのなら、4Minuteの『イルミモエヨ(What’s Your Name?)』。パワフルで、中毒性もあり、そのなかでも彼女たちの色が出るようにしました。CHERRSEE自体、個性があるグループです。
――日本でK-POPをやるグループということでしょうか?
それも違います。CHERRSEEは、日本の典型的なガールズグループだと思います。いまは、実力がずば抜けているわけではありませんが、新しいコンセプトと音楽のジャンルを持ったガールズグループになってほしいと思っています。ですから、K-POPをそのまま持ってきたということではありません。むしろ、そうなってしまったらダメですしね。典型的な日本のグループでありながら、新しいジャンルを切り開くグループということです。
――K-POPが好きならK-POPグループを好きになるでしょうし、K-POPと同じようにしていたらダメってことですか?
ここで重要なのは、CHERRSEEはただ単にK-POP好きの人たちから好かれるグループになってはいけないということですね。どういうグループであるのかは、リスナーが判断することです。K-POPファンがCHERRSEEを好きだと言ってくれるなら、それは、それで応援してもらえたらいい。AKB48を好きな人たちが、CHERRSEEを見て、新鮮さを感じてくださるなら、それもいい。とにかく、まだ新人ですから、今後、世間を驚かせるような多様な姿を持ったグループになってくれたらいいな、と思っています。
――『Mystery』の中毒性のある部分は、K-POPファンも好きな曲調だと思います。カン・ドンチョルさんの作る楽曲の特徴は、やはりリフレインですか?
僕が好きなタイプがあります。それは、映画のエンドロールが終わった後に余韻が残るような曲。私たちが、映画を見終わった後にどんな内容だったかを振り返るとき。ある種の虚しさなどの感情が残ると思うんです。音楽のパフォーマンスも同じだと考えています。ステージを見終わって、どんな曲だったのか、どんなパフォーマンスだったのか、何も心に残らなかったら、現代のガールズグループ飽和状態のなかで生き残れない。CHERRSEEのライブ後、家路の途中で『Mystery~♪ Mystery~♪』と頭のなかでリフレインする、それがCHERRSEEのいいところだと思います。
――5人のメンバー、それぞれの特徴、魅力を教えて下さい。
LENAは、新人なので一概に比較はできませんが、2NE1のCLのような声のトーンを持っています。そして、自信があります。歌やラップのトーンは、毎日練習したから出るものではなくて、自分に自信があってこそ出せるもなんです。そういう、アーティスト自身が持っているものを、いかに引き出すかがプロデューサーの仕事です。LENAの声を最初に聴いたときから、そういうものを感じました。
MIYUはダンスですね。グルーヴやバウンスに乗るのがうまく、習得がとても速い。ふつうなら、1~2年かけて習得するような技術を、彼女は1ヵ月で身につけることができる。ダンスに関して、基礎がない状態だったとは思えないほどの上達ぶりです。
SAYURIはタレント性。表情も豊かで、さまざまな魅力を持っています。歌手も演技者であると思いますが、彼女は、演技者としての表現力を備えています。これからどんな曲をやることになっても、その曲に合わせて演技ができるメンバーです。
NENEは音楽的な声のトーン。グループは、全員がメインボーカルでも完成しません。声のトーンが強い子がいたら、それをサポートできる声を持った子がいないといけません。それが彼女です。わかりやすく例えると、キムチ鍋にはキムチ以外に玉ねぎなど具材があって、NENEはその玉ねぎのような役割をしてくれます。
HIKARUは、グループの統制をとって練習などではしっかり意見を出してまとめてくれる頼もしいリーダーです。最初、グループとしてのまとまりのなかったチームが、短時間でしっかりひとつになることができたのも、彼女のリーダーシップがあったからです。今では、とてもまとまりのあるチーム、CHERSEEになりました。
――5月25日にデビューし、これから本格的に活動がはじまりますね。プロデューサーとしての気分はいかがですか?
うれしいです。順調に活動してほしいですね。一曲、出して終わりというわけではないし、今後ずっと続いていくので、私も彼女たちについて、もっと勉強をしていかないといけないと思っています。また、僕自身、J-POPにおいて、まだ知らない市場があると思うのでそこに目を向けていこうと思っています。CHERRSEEが成功するように、私も頑張っていきます。「本当にいい曲が出たなぁ」という評価を聞きたいです。
――出会って半年間でどれくらい成長しましたか?
嵐のように成長しました。プロの風格は少し持ち始めたと思います。お互いの不足した部分を補うことを知ってから、グループの形が見えてきましたね。
――カン・ドンチョルさんから見て、J-POPとは?
いいと思います。ただ、AKB48を外せないというか、頼りすぎているというか。彼女たちは韓国でも有名ですし、東南アジアでも広く浸透しています。とはいえ、AKB48の影響がここまで大きいのもどうなんだろう? と思いますね。素晴らしいグループではありますが、もう少し多様な音楽性が必要なのではないでしょうか。
――ここ数年の日本でのK-POPブームはどう見ていますか?
ありがたかったです。きっと情緒的に合う何かがあったから指示された、と。私たちからブームを仕掛けたわけではないので、一生懸命やってきたことが光を浴びたのだと捉えています。
――スター製造機、新人のガールズグループを育成することがお上手ですが、なにか秘訣があるのでしょうか? 女性のよさを見抜くのがうまいとか。
あはは……(笑)。私は、女性シンガーの歌で、悲しみを込めた歌詞が好きです。それに、曲のことだけを考えるのではなく、映像を見て、頭のなかで絵を描くのが好きなんです。私の宝物は、今まで集めてきたミュージックビデオで、本当にたくさんあります。それを見ながら、私が作った曲と照らしあわせてみたり、曲を書いたら頭のなかに絵が浮かんで、それに合わせてコンセプトも浮かんだり。曲を書きながら絵が浮かぶ場合もありますし、浮かんできた絵にあわせて曲を書くときもあります。
――今回の『Mystery』は、どのような絵が浮かびましたか?
強がっている、悲しい女の子の絵です。その痛む心を表現しました。ミュージックビデオを見ると、明るくてノリのいい仕上がりですが、心の奥深くはとても痛がっているんです。これまでプロデュースした女性アイドルグループの曲も、女の子の心の痛みや悲しみといった暗い感情がどこかに入っていますね。僕自身、そういった曲が好きなんです。
――最後に、CHERRSEEに激励メッセージをお願いします。
絶え間ない努力をしてほしいです。CHERRSEEの強みは、「プロデビューする」という切実な気持ちです。また、あなたたちが持っている“こういう歌を歌いたい”という強い思いを忘れずにいてほしい。努力を続けることで頂点に立てます。嘘が必ずバレるように、本当の気持ちはリスナーにもしっかり伝わります。多くの人から愛される歌手になってください。
【CD発売情報】
CHERRSEEファーストシングル
『Mystery』発売中
【イベント情報】
『Mystery』発売記念イベント開催決定!
(東京)6月10日(金)19:00~@HMVエソラ池袋
(神奈川)6月11日(土)①13:00~/②16:00~予定@HMVららぽーと横浜
【イベントに関するお問合せ】
AKATSUKI label
TEL:03-5485- 5555(受付時間10時~18時)
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