街はどこもかしこもハロウィン一色。この時期は世界中で仮装イベントが開催されているが、ある自治体が仮装テーマに注文をつけたことが波紋を拡げている。
米ミシガン州のオークパーク市は毎年ハロウィンイベント「Boo! Bash」を主催している。今月はじめ、市のFacebookページに掲載された告知ポスターには、見慣れぬ一文が添えられていた。
「Clown costumes not allowed(ピエロの仮装は禁止されています)」
その理由として、市は以下のように説明した。
「このイベントは幼い子どもたちのためのものです。ここ数年、ピエロの扮装はより恐ろしく、悪魔的な見た目になってきています。ピエロが登場するホラー映画もたくさんあります。約3年前には、ピエロの格好をした集団が人を脅かし、暴力を振るうという事件もありました。ピエロ恐怖症の人も少なくありません」
ローカル新聞オークランド・カントリー・タイムスがFacebookで市によるこの決定を報じると、コメント欄に「バカげている!」という非難が殺到した。
「幽霊は? オッケー。ゾンビは? 問題なし。シリアルキラーは? 全然だいじょうぶ。 ピエロは? はぁぁぁぁ? 何言ってんの?」
「ピエロは嫌いだけど、これはどうかしてる。どうせならセクシーメイドとかセクシー吸血鬼とか、セクシー海賊とかを禁止しなよ。この検閲はどうなの? 本当におかしいよ」
「ピエロの格好して、『ジョン・ウェイン・ゲイシー(ピエロの格好で犯行を重ねた実在の連続殺人鬼)の仮装だよ。ピエロじゃないよ』って言ってやるんだ」
ピエロに恐怖感を覚える「道化恐怖症」に悩む人は少なくない。ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』でも、ミランダの息子のバースデーパーティにピエロが呼ばれていることを知ったキャリーが「私、ピエロだめなのよ!」と文句を言う場面がある。特に最近は映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』のヒットにより、ピエロのイメージはさらに恐怖心を煽るものになってきているようだ。
市は、お菓子を楽しみに来場する子どもたちが怖い思いをしなくて済むように、との気遣いで「ピエロ禁止」を打ち出したが、様々な方面から予想以上の反感を買ってしまった。これを受け、市は「ピエロ禁止」を撤回するプレスリリースを発表。
「ピエロの仮装をしている人をBoo Bashから締め出すことはありません。しかしながら、このイベントは家族と幼い子どもたちのために開かれるものであるということをふまえ、最善の判断をしていただくことを推奨致します」
修正されたポスターからは、「ピエロ禁止」の一文が消え、代わりに「子どもが楽しめるコスチュームでね!」と書き加えられた。