“絶対王者”羽生結弦(23)がピンチを迎えている。
羽生は11月17日に行われたフィギュアスケートGPシリーズ第5戦ロシア杯で見事優勝を果たし、12月6日から行われるGPファイナルへの出場を決めていた。しかしロシア杯の練習中に負傷した右足首の状態は深刻だったようで、11月29日に欠場を発表したのだ。年末に行われる全日本選手権への出場も危ぶまれている。だが11月に帰国した際、こんな驚きの一幕があった。
「羽生選手は空港で松葉づえをついていました。気遣ったスタッフが車いすを勧めたのですが、彼は『人前で弱い姿は見せられない!』と拒否したそうなんです。足の痛みをこらえながら、空港を出るまで常に笑顔を絶やさなかったそうです」(フィギュア関係者)
人知れず、ケガと苦闘する羽生。だが、彼の目は早くも“次の目標”に向いているという。
「全日本選手権に出場できるかは正直微妙なところですが、彼は諦めていません。来年3月に開催される世界選手権も5年ぶりの自国開催ということもあって、『絶対優勝したい!』と相当気合いが入っているようです」(前出・フィギュア関係者)
実際、これまでも羽生はケガの直後にその真価を発揮してきた。
「昨年も平昌五輪の直前に行われたNHK杯で、全治3週間のケガを負いました。リハビリ期間も考えると、普通ならオリンピックを諦めてもおかしくありません。ですが、羽生選手は見事に調整して五輪2連覇を達成しました。この驚異的な回復力が彼の強さの秘密です」(前出・フィギュア関係者)
前述のように弱みを見せないところが羽生流の回復術の特徴だ。
「羽生選手はジュニア時代からよくイメージトレーニングをしています。“完璧な自分”を思い描き、実現する道筋を立てるのです。だからこそ、強い王者としての姿を見せているのだと思います」(前出・フィギュア関係者)
こうした羽生の行動は医学的にも効果があるという。順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生はこう分析する。
「ケガの回復を早めるには血流をよくすることが重要です。そこでポイントとなるのが自律神経のバランス。羽生選手を見ていると、この自律神経のコントロールが非常に優れているようです。イメージトレーニングは深い呼吸をもたらし、神経を整える効果があります。また笑顔になると副交感神経が優位になり、血流の改善を促すことが実験でも明らかになっています。そうした行動が、彼の“超回復”を支えているのではないでしょうか」
奇跡の復活に向けて助走期間に入った羽生。飛翔のときはそこまできている――。