先日、元SPEEDの島袋寛子さん(34)がバラエティ番組に出演。その際のコメントが話題を呼んでいます。
その番組では、同じく34歳の社会学者・古市憲寿さんやタレントのSHELLYさん、そして“昭和歌謡の生き字引”こといとうあさこさん(48)が出演し、平成のヒットソングを振り返るという企画でした。
そこで島袋さん。SPEED解散の真相を尋ねられ「原因は私かな……」と、照れながら当時を語る一幕がありました。理由としては当時思春期という多感な時期にスターになった4人が、それぞれどうありたいかに悩み始めグループの今後を模索。その結果、3年半という短期間での解散を決めたということです。
仲違いとかがあったわけではなく夢を叶えた結果の決断だったらしいですが、とはいえ解散から19年たった今になって「実はあの時は……」と原因を話したところでちょっと興ざめする部分があります。
ただテレビでは定期的に「あの時のアレは……」といった暴露番組が組まれるのは定番です。その度ネットでは「またか!」「今さら!」「聞きたくなかった!」と批判的な声が聞こえるのですが、それでも「あの時は…」的な暴露番組がなくなることはありません。この矛盾はなぜ起きるのでしょう。
■旬が過ぎていることがより鮮明に出てしまう
そもそも人が「実はあの時……」と語るのは、どんなタイミングでしょう。正直テレビにおいては“今話す話題”がない場合ほど旬であったり話題であったりした時代を語り、懐かしさや話題性で引っ張るものです。
そのやり方が正しいか間違っているかは別として、この手法は分かりやすく話題を集めると同時に1つ欠点があります。それはあえて全盛期に触れることで、「今が旬ではない」という事実を人々に意識させてしまうということです。
島袋さんだってSPEED全盛期の謎を語ることで一時的な話題となったものの、「なぜ今?」という疑問を多くの人に植え付けたことでしょう。なぜ今なのか。それは今話題がないからではないか(実際はどうかわかりませんよ)なんて思われては、タレント性にケチがつきます。それでも過去を語る価値ってあるのでしょうか。
■「暴露」はトークの麻薬!一瞬の快楽と中毒性にご注意を
「実はあの時……」は美談や反省として語られることが多いですが、いうなれば全部“暴露”です。暴露って字の通り爆発力があり、一気に露呈させることで注目を集めるインパクトも持ち合わせています。
ただこのような暴露トークは、その影響力に麻薬のような中毒性があるのが最大のデメリット。一瞬気持ちよくなれるけど、すぐにハイな状態は去りまた欲しくなる。それが中毒性というものです。
「実はあの時」「本当は私……」「内緒だけど、昔あの人から口説かれて」といった話はすべて、その瞬間はよくても起爆力を発揮したあとは次を期待されるもの。そういう意味ではテレビにとにかく出る必要がある人以外は、暴露って意味があるのかなあと思わずにはいられません。
■効果的な「実はあの時……」はあるのか?
とはいえ効果的に「実はあの時……」といったトークが生きることがあります。それはあの時はああだったというインパクトと一緒に、「だから今はこうなっていて」といった現在のアピールポイントがあればいいのです。もっと言えば「今はこう」という話のインパクトが大きいほど、過去の話は相乗効果を生み出します。
結局“昔取った杵柄”で語られてもインパクトこそあれど、他の人の心には響きません。使い捨てられて終わりです。過去の話でインパクトをもたせ、今の話で人を引きつける。このワンセットができてこそ、「実はあの時……」は語る価値のあるテーマではないでしょうか。
島袋さんもせっかくなら解散理由とあわせて、2017年に結婚した12歳年下夫との話を聞かせて欲しかった。そうすればまた違ったキャラが立ったというもの。って、その話が聞きたかったのは筆者だけかもしれませんが。
(文・イラスト:おおしまりえ)