俳優で歌手のディーン・フジオカ(38)が3月7日、アーティスト名義「DEAN FUJIOKA」として、ニューアルバム『History In The Making』(1月30日発売)のリリース記念スペシャルトークイベントを開催。2月にクラブDJデビューしたDEANは持参したDJ機材を駆使し、曲をかけたり、トーク中の効果音を流したり、と遊び心満載の演出で1時間半のイベントを大いに盛り上げた。
この日は、7千通を超える応募のなかから抽選で選ばれた300人を前にカジュアルスタイルで登場。大学の講堂のような会場を見わたし「学校の先生になった気分ですね」と挨拶すると、青色のサイリウムを手にしたファンたちは「フジオカ先生!」と熱い声援を送った。最初のコーナーは、約2年半ぶりにリリースされたアルバム『History In The Making』の制作秘話を展開。「この2年半の間の音楽的な変化を順番に並べていったことで、ドキュメンタリーのように感じていただけるアルバムになったと思います」と紹介した。
TVアニメのオープニングテーマ曲となった『History Maker』をはじめ、映画『結婚』の主題歌『Permanent Vacation』など、すでにシングルでリリースされていた楽曲をアルバムバーションとして再編集したことを説明。なかでもドラマ『今からあなたを脅迫します』のために書き下ろした『Let it snow!』は今回マンダリンバージョンで新録されたが、「曲が完成したときから確実に中国語が合うと思った」と振り返った。
また、DEANの生まれ故郷である福島県を歌った『Fukushima』は、’11年の東日本大震災の話題に触れながら楽曲への思いが語られた。
「3.11前は福島で生まれたと言っても、(海外では)100%知らないと言われたのに、(震災)以降は誰でも知っている。あまりにも情報が偏っているなあと思って。自分が見てきた福島の景色を伝えたいという思いを込めて作りました」
司会者から「ジャジーで、ブルージーな印象も」と感想が伝えられると、「誰にとっても故郷というものを感じてもらえればいいなあと思いました。なんなら台北でも、ジャカルタでも」と国際派のDEANらしい返答も。
アルバムのタイトルトラック『History In The Making』は、DEANが現在行なっている初のアジアツアーを意識して制作された。中国語の歌詞した理由も、「中華圏で世話になり、いまの自分があると思う」と説明。さらに「三国志が好きで」と話を切り出したDEANは、お気に入りのシーンの“同じ根っこから育ったのに、なぜ苦しめ合うんだ”というセリフをイメージして歌詞を作ったエピソードを披露した。
国内公演からスタートしたアジアツアーは初の海外公演も予定されている。訪問先となるのは上海、香港、台湾の3都市。4月12日に公演予定の上海は、香港、台湾で活動していたときに仕事でよく訪れた場所だという。
「日本をベースに仕事をスタートさせてからはほぼ初めてというか、ライブなど自分の名前を出して行うイベントはこれが初です。“その節はお世話になりました”といった気分ですね」
公演中に訪れたい場所には古北(グーベイ)エリアを挙げ、日本そばを食べた思い出を披露した。
「美味しいそば屋さんがあるんです。たまに日本食が恋しくなると行ったお店があって。あと、もつ鍋も美味しい店がありますね。上海のもつ鍋は失敗ないんですよ、ぜひ柚子胡椒をつけて食べてください。あのへん(グーベイ)でゴルフの打ちっ放しに行ったなあ(笑)」
続く香港は自身の芸能活動の「スタート地点」と言い、「鍛えられました。スパルタだったので」と苦笑。スクリーンデビューしたのも香港だったというDEANは、「自分のパッションを気づかせてくれた場所です。“自分が人生で何をしたいのか”と」と振り返った。
そして香港から’06年に移り住んだ台湾は、“学校”と表現。エンターテイメントの仕事のノウハウを教えてもらった場所で、お世話になった関係者や俳優仲間も多いという。
「“おかえり”と言ってもらえると思いますが、ちゃんとしたものを見せなきゃって気合いが入ります」
トークコーナーの後は、DEANが自らイントロの音を流し、ファンが曲名を当てる「イントロドン!」や、ファンの質問にDEANが答えるコーナーと続いた。イントロクイズでは尾崎豊や小田和正、DEANが大好きな米国ヘヴィメタル・バンド「メタリカ」の曲を流して盛り上がるが、DEANファンへのクイズで自分の曲を流さないというまさかのハプニングが! そんなDEANの天然ぶりに苦笑いする司会者を横目に、『OH MY LITTLE GIRL』や『ラブ・ストーリーは突然に』のサビをファンと合唱する一幕もあった。
質問コーナーでは、「コラボしてみたいアーティストは?」と訊かれ、悩んだ末に台湾出身の俳優で歌手のジェイ・チョウさんの名前を挙げたDEAN。俳優としては「アクション映画をやりたい」と抱負も。
「中華圏であんなに練習してきたのに、いま、あまりアクションをやる機会がなくて。だから目標があるんです。『ジャパンアクションアワード』を獲りたいなあって。優秀賞をいただいたことがあるんですけど、アクションだけは“最優秀賞”をいただきたい。あと何年かしたら体が動かなくなっちゃうから」
1時間半におよんだイベントの最後は、開催中のライブツアーの感想と意気込みを語った。
「やっぱりライブはやりがいがあります。楽しいなあと思う部分と、難しい、チャレンジしなきゃいけないと思う部分の両方を感じています。毎公演ベストなものをやれたらという気持ちは変わらないんですけど、人間なんで毎回変わってくる。反省点もあるし、飽くなき挑戦という感じです。聴きに来てくださるみなさんと、楽しい思い出を作っていければいいなあと思っています」
そして締めの挨拶では、「次回はDJ DEANコーナーを1時間やりましょう」と盛り上げる司会者に大喜びの観客。声援に応えながらこう宣言した。
「こういうイベントもそうですし、ライブコンサートも含めて活動の幅や頻度を増やしていければいいなと思っています。自分の中で覚悟を決めて、優先順位を見極めて、頑張っていきたいです」