《私としては、すでに次男からも卒母しています》
そんな三田佳子(77)の告白が話題を呼んでいる。『婦人公論』4月9日号で、次男・高橋祐也(39)からの“卒業”を宣言したのだ。
これまで高橋が覚せい剤取締法違反で逮捕されるたびに、三田の“過保護ぶり”が波紋を呼んできた。最初の逮捕は98年。当時の高橋は18歳だったが、三田がお小遣いとして月50万円を渡すこともあったと報じられた。そして昨年9月には4度目の逮捕となったが、そのときも変わらぬ親子関係が伝えられた。
「事件の前、高橋さんは『今でも1日15万円もらっている』『家族カードを持っていて、月に200万円使うことがある』などと言っていたそうです。さらには『母親から絵が送られてきたこともあった』と漏らしていたことも。三田さんからは『もうお金がないの。これを売って何とかして……』と言われていたそうです」(芸能関係者)
息子の逮捕後、三田は《親としては、もう力及ばずの心境です》と答えていた。そんななかで飛び出した、“卒母”告白。過去に“親と縁を切る子が増えている”と話題になったことはあったが、“親が子と縁を切る”という例は多くなかった。だが実は近年、三田のように「母親をやめる」女性が急増しているという。引きこもりや家庭内暴力問題などを解決するための全寮制自立支援施設「あけぼのばし自立研修センター」の齊藤直毅さんは語る。
「三田さんのように『頑張ってきたけど、もう限界』と相談に来られる方は多いです。16年度の相談件数は1,411件でしたが、18年には2,777件とほぼ2倍。今年はまだ3カ月にもかかわらず、674件です。電話での相談はこの5倍くらいあります。相談内容でいちばん多いのが、引きこもり。そのほかにも定職につかない、お金の無心などがあげられます。また全体の4割ほどが、家庭内暴力に悩んでいます。なかには『子どもと縁を切りたい!』というようなご相談もありました。我々は自立支援のサポートを目的として活動しているので、そうした活用は非常に困るのですが……」
さらに問題なのは、相談件数の増加だけではない。その内容も、昔では考えられなかったほど深刻化しているという。今回、齊藤さんに2つのモデルケースを再現してもらった。
■ケース1:親に根性焼き
40代前半の息子は、15年間無職だった。20代半ばで会社を辞めて自宅にいるようになったが、理由をつけてはお金を無心するように。そうした生活は、10年間も続いた。「こうなったのはお前たちのせいだ!」と言われた父親が仕事を見つけてきたところ、今度は「自分が働いている間は寝るな!」と言うように。要求はどんどんエスカレートし、母親をいつも自分の近くに置き始める。気に入らないと罰金を徴収し、母親の体に煙草を押しつけることも。父には包丁を持ち出し、「殺してやる」と威嚇するようになってしまった。
■ケース2:小遣い月50万円
30代前半の息子は就職して家庭も持ったが、うつ病を患い退職。病気は回復したが、無収入となったことで両親への無心が始まった。お金はキャバクラなどに消え、さらにカード会社への借り入れを繰り返す。借金は800万円に膨らんだが、息子に返済能力はない。結局、借金は両親が全額支払うこととなった。家族会議を開き、息子は更生を約束。だが次第に悪い仲間と付き合い始め、仕事も長続きせず辞めてしまう。そのうち月50万円ほどのお小遣いを要求し、「安月給で働く意味なんてない!」とまで言うようになってしまった。
子どもの問題を解決したいと誓ってきた母親たちが施設に助けを求める。そこには並々ならぬ葛藤があったことだろう。だが齊藤さんは「物理的に距離を置くことが重要」と説く。
「たしかに入所してからも、ご両親のなかには『本当に施設へ預けてよかったのだろうか……』と悩まれる方がいらっしゃいます。しかし、親と子の“線引き”をすることは非常に大事です。実際、入所された95%の方はきちんと自立できていますからね。みんな、本心では変わりたいのです。だから“親としての責任”にこだわるのではなく、いい意味で“他人に任せること”が重要だと思いますね」