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「新しい元号は『令和』であります」

 

4月1日午前11時41分、菅義偉官房長官が新元号「令和」の額を掲げた。皇太子さまは直前の11時半過ぎに、宮内庁の西村泰彦次長から「令和」と書かれたメモをご覧になり、「わかりました」とにこやかな表情を見せられたという。

 

新元号発表3日前の3月29日には、安倍首相が東宮御所を訪れ、皇太子さまに面会している。

 

「政府関係者は『最終選考に残った6つの新元号案を皇太子さまに伝えに行った』と明言しています。天皇陛下への面会である『内奏』は首相や閣僚が定期的に行っていますが、皇太子さまへの首相の面会は異例です。しかも2月22日に続いて2カ月連続ですから、いかに安倍首相が皇太子さまとの関係を重視しているのかがわかります。安倍首相は、皇太子さまが政治的決定に関与したことにならないように、元号についての意見はうかがわなかったようです。ただ、説明をお聞きになる皇太子さまのご表情を見て、安倍首相が新元号案について自信を深めた可能性はあるでしょう」(皇室担当記者)

 

象徴天皇制を研究する名古屋大学大学院准教授の河西秀哉さんはこう語る。

 

「5月に天皇となられる皇太子さまに、ご即位前から異例とも言える面会を繰り返し行った背景には、安倍首相の支持母体である保守派への配慮があるのでしょう。天皇と元号が結びついていることを示し、それによって天皇を国家元首と明記する自民党の憲法改正草案に近づけたいという意図も透けて見えます」

 

しかし、これまで平成の皇室と安倍政権は対立してきたと皇室ジャーナリストが説明する。

 

「第1次安倍政権の’07年当時、小泉純一郎元首相が’05年にまとめた『女系皇族にも皇位継承権を認める』という方針を白紙に戻しました。これにより皇位継承問題の解決は遠のいてしまいました。また’17年には、陛下のご退位をめぐる有識者会議も波紋を呼びました。安倍首相の意向を反映して選ばれた保守派の専門家が『天皇は祈っているだけでよい』などと発言したことに対し、陛下が強い不満を漏らされていたことが明らかになったのです」

 

しかしそんな安倍政権のもとで選定された新元号「令和」を、皇太子さまは笑顔で受け入れられたのだ。

 

「安倍政権は御代替わりを前に、皇室に歩み寄りの姿勢を見せ始めているのです。菅官房長官は先月、女性宮家の創設を含めた安定的な皇位継承について、皇太子さまのご即位後、時間を置かずに検討を開始すると明言しました。また安倍首相も、女性宮家の代案として長年主張してきた“旧宮家の皇籍復帰”について、一転して消極的な見解を示したのです」

 

今年の新年一般参賀には史上最多の15万4千人が集まり、皇室には国民からの敬愛が集まっている。

 

「安倍首相としても、皇室との溝がこれ以上深まることは避けたいと考えているはずです。一方で皇太子さまは憲法の定めにより、女性宮家創設といった皇室典範に関わる問題にはまったく関与できません。皇室の存続を左右する問題についても政府に任せるほかないお立場です。皇室の未来のためにも、まずは協調を――。皇太子さまはその笑顔に、言葉にはできない首相との“合意”をこめられたのかもしれません」(前出・皇室ジャーナリスト)

 

令和の“和”は、皇室と政権の融和をも意味することになるのだろうか――。

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