FMなんじょうのラジオ番組に出演する中村逞珂さん(右)と父親の幸也さん=9日、南城市大里のスタジオ 画像を見る

 

いじめなどの問題で子どもの自殺が出ている現状を憂い、「少年革命家ゆたぼん」を名乗って悩んでいる子や親を励ますメッセージを発信している中村逞珂さん(10)を5日付の本紙で紹介したところ、インターネット上で賛否の意見が活発に交わされている。「宿題をやらずにさぼっているだけ」などの中傷も多く、専門家は「不登校の理由を周りが納得しないと許さないという異常さが表れている」と指摘する。一方、大リーガーのダルビッシュ有さんがツイッターで活動に理解を示すなど、肯定的な意見も広がっている。

 

「学校に行っていた方が幸せになれる確率は高い」「我慢や忍耐力も協調性も無くて、身につける努力すら放棄して逃げてる」「親のロボット」―。本紙の記事を取り上げたニュースサイト「ヤフーニュース」のコメント件数は9800件を超え、逞珂さんが動画を発信しているユーチューブのチャンネルにも批判的なコメントが並ぶ。その多くは、逞珂さんが学校へ行かない理由に納得できず“安易なサボり”と断じた上での批判だ。ネットメディアも同調するように批判的な視点で報道し、会員制交流サイト(SNS)で拡散されている。

 

◆共感

 

そんな中、ダルビッシュさんは9日、逞珂さんの父親が批判に反論したことを紹介した日刊スポーツの記事をリツイートし「自分の好きなように生きればいいよね。責任も取れないのに他人の人生に口挟まなくていいと思うわ」とネットの論調に疑問を投げ掛けた。

 

脳科学者の茂木健一郎さんもツイッター上で積極的にコメント。海外では学校ではなく家庭を中心とした「ホームエデュケーション」という選択肢があることを紹介しつつ「取り組みのすべてを、ぼくは応援したい」と表明した。

 

逞珂さんの動画の以前からのファンは批判が多いコメント欄に「こんなの学校のいじめよりひどい」と心配した。逞珂さんと親交があり、自身の子どもも家庭で学ぶことを選択している母親は「学校に通うべきだと主張してゆたぼんを批判する人は、学校で何を学んだのか。匿名であれば人を傷つけてもいいと教えられたのか」と憤りを隠さない。

 

賛否両論の中で注目度は上がり、約600人だった逞珂さんのユーチューブのチャンネル登録者数は一気に1万6千人を超えた。逞珂さんは「ホンマに助けが必要な子にメッセージは届いている。それがめっちゃうれしい」と前を向く。9日はFMなんじょうのラジオ番組に出演し思いを語った。

 

◆理由

 

逞珂さんは学校へ行かなくなった理由として、大阪に住んでいた小3の頃、宿題を強制する学校に疑問を抱き「先生の言うことを黙って聞くロボットになりたくなかった」と説明している。当時の担任が逞珂さんに居残りして宿題をやるよう命じ、たたいたというトラブルも背景にある。

 

1、2年の頃は楽しそうに学校に通い、宿題もこなしていた。しかし、3年の時の担任にたたかれた日、泣きながら帰宅した。担任は両親に対し、たたいたことを認めず「手が滑って当たった」と説明したという。

 

以来、逞珂さんは何が学びたいかを自分で考え、実行してきた。いじめによる自殺者が出ているというニュースを知った後は、ユーチューブなどで「不登校は不幸じゃない」と発信するようになった。

 

不登校新聞の石井志昂編集長は「暴力で児童と教師の関係が破綻した場合、正常な関係に戻るには時間がかかる」と説明。「一方で、命が脅かされないと学校を休めないのもどうかと思う」と、周囲が納得しないと不登校を認めないという風潮に疑問を呈した。

 

(稲福政俊)

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