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はあちゅうと、しみけん。活躍する業界もファン層も違う異色夫婦が、「これ、どうする?」「あれ、どう思ってる?」を赤裸々に語り合う本誌連載「家族会議 議事録」。第4回の始まりです。

 

 

しみけん「僕から聞くのもなんだけど、AV男優と結婚するってどんな感じ?」

 

はあちゅう「つき合ってる最中から、『なんでこんな下品なことを堂々としゃべれるんだろう、この人は……』と思ってたよ。ふつうは、日常的に男性器や女性器の呼称を口にしないでしょ!? それを初対面から言ってくる」

 

しみけん「なんで僕に愛想を尽かさなかったの?」

 

はあちゅう「今までの知り合いにいないタイプだったから、もっと知りたいなと思って」

 

しみけん「へぇ〜(笑)。人間関係って、『嫌い』から入ったほうがいい結果を招くこともあるね。『好き』から入ると、減点法になっちゃうもんね」

 

はあちゅう「だから、けんちゃんの場合、最底辺からの加点しかない(笑)。けんちゃんの部屋を初訪問したとき、部屋全体がナチュラルに『秘宝館』で驚いたよ。まず、玄関の印鑑置きが……」

 

しみけん「女性のお尻の形をしたやつね。ずっしり重くて、男のほうが腰を振る。それの穴のところに印鑑を突き刺しといて、宅配便の人が来たら引っこ抜いて捺印。あれ高いんだよ(笑)」

 

はあちゅう「その横には、男性器の模型……」

 

しみけん「勇ましいだろ(笑)。僕が大人のおもちゃをプロデュースしたときのやつ」

 

はあちゅう「洗面台で替えのシャンプーかと思ったらローションだったし、押入れを開けたら、大量のTENGAやスケベ椅子があった」

 

しみけん「違うよ。あれは『くぐり椅子』といって、スケベ椅子の上位版ね。人の頭ごと椅子の下に入れるの。強化プラスチックを、コの字型に曲げる技術が必要だから、あれも高いんだよ。5万円もする」

 

はあちゅう「知らないよ(笑)」

 

しみけん「メーカーさんから、開発途中の商品をもらったりもする。はじけるコーラキャンディみたいに、気泡でパチパチ破裂するローションとか、ローションが落ちやすいAV仕様のボディソープとか」

 

はあちゅう「徐々に慣れるし納得はしていくんだけど、普通の感覚は忘れないよう、今も必死で抵抗してる。自分の連載やインタビューが掲載された雑誌の見本誌だって、私宛てのものとけんちゃん宛てのものは全然違うよね。私は『MORE』とか『an・an』だけど、けんちゃん宛ては、裸体やエロい言葉が表紙に躍ってる……」

 

しみけん「こらこら、『アサ芸』さんは、ちゃんとした雑誌だぞ。謝りなさい(笑)」

 

はあちゅう「今の家、コンドームの在庫もすごいよね。けんちゃんが現場に持っていくお気に入りのコンドームが、普通の人の3年分くらいストックしてある。私、コンドームって『両親の寝室の秘められた場所にこっそりしまってある』イメージだったのに、うちは業者の倉庫みたいにドーンと置いてあるじゃない。日常風景にコンドームが溶け込んでいるという……」

 

しみけん「いいんだよ。もし子供が親の寝室で隠されたコンドームを見つけちゃったら、その瞬間に『隠さなきゃいけないもの』扱いになっちゃうでしょ。でもコンドームって、必要不可欠な避妊具で、子供にも胸を張って説明しなきゃいけない大切なもの。どんどん見せて、日常化していくべき」

 

はあちゅう「子供には、『ふつう』の感覚も持ってほしいけどね」

 

しみけん「真面目な話、『世の中の性犯罪はAVがあるから起こるんだ』って言う人もいるけど、それは違う。今まで大人たちが子供たちにちゃんと性教育をしてこなかったしわ寄せがそうさせてるだけ。彼らは自分たちの責任だと思いたくないから、AVに責任転嫁してる。子供たちの『赤ちゃんはどこから来て、どうやって生まれるの?』という質問にちゃんと答えられない人に限って、AVのせいにする。そして、そういう人が、感情論で片づけようとする」

 

はあちゅう「私たちがよくネットで言われる『お父さんがAV男優でかわいそう』『ネットで炎上する人がお母さんだなんて、かわいそう』というのも、ひとつの感情論だよね」

 

しみけん「うん。子供が親の職業を知って複雑な感情を抱いたとき、親は子にどう接するか。ノーアイデアな人ほど『かわいそう』と結論づけて思考停止状態になってる。その点、僕たちは対処法を考えてる。いずれこの連載でもじっくり話そうよ」

 

はあちゅう「とはいえ、面と向かって『子供がかわいそう』と言われれば、私はけっこう傷つくよ。新しいものや理解できないものへの拒否反応からくる発言なんだろうけど。高齢者が『スマホ怖い』『ネットで買い物すると詐欺に遭う』っていうのと似てる」

 

しみけん「最近だと『電子マネー怖い』もそうだ」

 

はあちゅう「近くに私たちみたいな仕事をしている人がいないから、理解不能で脳がキャパオーバーになって、拒否しちゃうのかも。でも、私がけんちゃんを最初は嫌いだったみたいに、『苦手かも』と思いながらもよく知ろうとすると、一生ものの出会いにつながる可能性もあると思うの」

 

しみけん「『怖い』という感情は、『知る』ことによって解決することが多い。お化け屋敷が怖いのは、どこから人が出てくるかわかんないから怖いんだよね。『あの角から出てくるよ』と知ったら怖くなくなる。突然、目の前から裸の男が走ってきたら怖いけど、それがアキラ100%さんだったら怖くない(笑)。芸だってわかるから」

 

はあちゅう「そうだね。『知る』ことから、『理解』や『好意』が生まれるよね」

 

【はあちゅう】
1986年、神奈川県生まれ。慶應大学在学中より、ブロガー活動を開始。会社員経験を経て、2014年、フリーに。ブログ「旦那観察日記」で、夫婦生活を鋭意発信中。

 

【しみけん】
1979年、千葉県生まれ。1998年にAVデビューし、出演本数は約1万本の現役AV男優。最新刊『しみけん式「超」SEXメソッド』(笠倉出版社)が8月29日に発売予定。

 

取材&構成:稲田豊史

(週刊FLASH 2019年9月17日号)

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