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【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第7回>

TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。

 

【今回の相談内容】

私たち夫婦と義姉はそれぞれ夫の実家の近くに住んでおり、義両親の身の回りの世話は義姉が通っておこなっていました。しかし、1年前からは私が義姉の代わりにすべての世話をおこなうように。そのこと自体に不満はないのですが、最近「レトルトや冷凍ものは使ってほしくない」「母には少量でたくさんの種類のおかずを食べさせてあげたい」など、義姉からの要求が増えてきました。もちろん、できる限りのことはしてあげたいのですが、毎日のことなので負担も大きくて……。さらに、それを夫に相談したところ、夫が義姉にきつめに伝えてしまい、二人は口を利かない関係に。私も気まずく、心労で痩せてきてしまいました。(67歳・主婦)

 

【回答】

ご状況が手に取るようにわかり「たいへんだ」と思わずため息が出てしまいました。「手を出さない人が口を出す」。介護期間に生じるトラブルの原因はほとんどがこれです。私だったら、「そうおっしゃるなら、ご自分でどうぞ」と言いたくなってしまいそうです。いや、実際、主人の介護をしていたときは言ってしまっていました。なので、お気持ちと大変さは、重々承知しているつもりでおります。

 

いちばんの解決は、義姉が「ありがとう。あなたは本当によくやってくれている」と認めて改心してくれることなのですが、どうでしょう? 無理そう? そうね、たぶん無理なのです。なぜなら、あなたさまもご存じのとおり「他人は自分の思うようにはならないもの」だからです。

 

でも、ご主人はあなたのなさっていることをしっかり認めてくださっている。だから、お義姉さんにきつく言ってくれたのでしょう。三方良しがベストだけれども、なかなかそうはいきませんから、ご主人があなたを理解してくれているだけでもОK。義姉とは少し距離が取れてよかったくらいに考えてみてはいかがでしょうか。「他人は自分の思うようにはならない」けれど、「状況は自分の捉え方しだい」です。

 

自分の考え方をコントロールする、これは練習あるのみです。一朝一夕でできることではないのですが、日々の練習でだんだんと身についていきます。コツは、物事の見方には何通りもあると考え、その具体的なパターンを思い浮かべるようにしてみること。そして、思い浮かんだパターンの中から、あなたさまがいちばんこころ穏やかでいられるパターンを選択すればいいのです。

 

とはいえ、こんなことばかり言っていると「ちっとも解決にならない」と怒られてしまいそうです。そこで、もうひとつの見方をいたしましょう。あなたさまが疲れすぎていませんか。社会資源を使ったサポートを上手に取り入れていますか。また、義両親さまの介護や今後についての家族会議をもっていますでしょうか。おしなべて、あなたさまが今よりも楽になるように、ありとあらゆる手段を試してみていただきたいと思います。

 

【プロフィール】

玉置妙憂(たまおきみょうゆう)

看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』火曜のコメンテーターを務める。

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