シンガーソングライターの山下達郎(66)が1月19日、「山下達郎のサンデー・ソングブック」(TOKYO FM)に出演しAI美空ひばりについて「冒とく」と表現した。ネットでは様々な意見が上がっている。
AI美空ひばりは、歌手・美空ひばりさん(享年52)を最新の人工知能技術で蘇らせたもの。昨年9月にはドキュメンタリー番組が放映され、さらには「NHK紅白歌合戦」にも登場。スクリーンに映し出されたひばりさんが新曲「あれから」を歌い話題を呼んだ。
19日、山下のもとにリスナーからの質問が届いた。そこには「単刀直入にお聞きします。昨年の紅白、AI美空ひばりはどう思われますか?」とつづられており、さらに「技術としてはありかもしれませんが、歌番組の出演やCDの発売は絶対に否と考えます」と文面は続いた。すると山下は、こう一言述べた。
「ごもっともでございます。一言で申し上げると冒とくです」
山下の発言は大きな話題となり、Twitterでは「美空ひばり」がトレンド入りを果たした。さらに《AI美空ひばりは、批判はあれど、曲を聴いて当時を思い出し、涙を流す方だってたくさんいた》《俺はどうしても、AI美空ひばりを観てその歌を聴いて泣いたひとを否定出来ない》と擁護する声も上がるいっぽうで、山下に賛同する声も上がっている。
《歌だけならまだしも、曲間の台詞は非常にいただけない。故人を誰かの都合で勝手に喋らせるわけですから、この技術を用いて故人が恣意的に神格化されることに違和感を覚えます》
《AI故人のやばいところは、生きてる人間の都合に合わせて故人のありようを改竄できるとこにあるよなあ 私の知ってる故人はこんなこと言わないとか必ずこう言うだろうとか AI故人は死者の復活ではなく別人格の創造》
また《AI美空ひばりについては、技術の進歩ってすげーと思う反面、それは本人ではないということを承知した上で色々やらなくちゃならんよなと思う》《AIと人間をごちゃ混ぜにしちゃうのは違うって感じ》と、あくまでひばりさんとAIは“別物である”と認識することが大事という声も上がっている。
「俳優がひばりさんを演じるのとAI美空ひばりとでは違いがあります。前者は、俳優自身とひばりさん本人が別物であるということが明確。いっぽうAI技術で本人そっくりの存在を作り出すとなると人格の再現性が極めて高いです。そのため慎重に扱う必要があります。また今回は、“ひばりさんを尊ぶ”という方向に流れていったのも非難の理由のようです。技術は素晴らしいものですが『故人とAIは別物』という前提で、どう蘇らせて、それをどう使うのかという議論を進める必要があります」(ITジャーナリスト)