2018年7月に事実婚を発表し、2019年9月に長男が誕生した、はあちゅうとしみけん。活躍する業界もファン層も違う異色夫婦が、「これ、どうする?」「あれ、どう思ってる?」と赤裸々に語り合う本誌連載「家族会議 議事録」の第23回。話題は、「夫婦内片想い」から、「離婚」へとつながっていき……。
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はあちゅう「浮気の話ともつながるんだけど、『夫婦内片想い』ってあるじゃない」
しみけん「夫婦がフィフティ・フィフティで好き合っていない状態のことだね」
はあちゅう「そう。恋人同士でもそうだけど、時期によって、なんとなく男のほうが追いかけてるときと、女のほうが追ってるときがある。綱引きみたいな。私たち夫婦のいままでを振り返ってみても、『いまは私のほうが主導権握ってるな』ってときと、『けんちゃんのほうが強いな』ってときがあるじゃん」
しみけん「あるある」
はあちゅう「私とけんちゃんが一度別れたときは、0対100で私の片想いだった。私はヨリを戻したいのに、けんちゃんは『ドラゴンボール』読みたいだの、ゲームしたいだの……。『ストリートファイター』だっけ? 『ゲーム楽しい』ってツイートしてたじゃない。『ゲームするために私と別れたの? なんだこいつ!』って思ったよ(笑)」
しみけん「ひーー!!(笑)『つき合うまでは、男のほうが女を追いかけて、つき合ってからは逆になる』とはよく聞くけど」
はあちゅう「つき合い始めると、女の子が『重い女』になっちゃうパターンね。その先、結婚となると、またいろいろと複雑になる。子供ができてからは、さらにまた違う感情がやってきて、夫婦の関係性が変わる」
しみけん「知り合いの男性も、夫婦内片想いだったよ。奥さんのことが好きすぎて、体を求めるんだけど、奥さんはその気になれない。で、奥さんがお風呂に入ってる間に、奥さんのパンツで自慰するんだって」
はあちゅう「へえ! 夫婦歴はどれくらいなの?」
しみけん「18年。で、こないだ彼が奥さんのパンツを見たら、むちゃくちゃ濡れてたんだって。それで『お前、浮気しただろ』って詰め寄ったらビンゴで、すぐ白状したってさ」
はあちゅう「すごい話だね。今はどうしてるの?」
しみけん「その人はAV関係者なんだけど、『冴えない男優を呼んで、自分の妻を抱かせて、3人で新しい夫婦の形を築いていきたい』って言ってた。それが、解決に至る道かはわからないけど」
はあちゅう「新しい世界に行っちゃったのね……」
しみけん「しかし、夫婦内片想いはどうやって解消すればいいんだろう?」
はあちゅう「発散する場所を、ほかで作るしかないのかも。別の相手と恋愛する人、買い物に走る人、いろいろだよ」
しみけん「買い物?」
はあちゅう「夫が不倫するたびに、妻がリングを買ってもらうとか、夫のクレジットカードを切りまくるとか。そういうの、よく聞かない? 不貞を働いた男が、妻の不満を『経済力で黙らせる』ってやつ。けっこうある気がする」
しみけん「片想いを、散財で埋められるの?」
はあちゅう「埋まらないからこそ、散財が止まらないんだよ」
しみけん「一瞬、埋めた気にはなるかもしれないけど、欠けたピースは埋まらない」
はあちゅう「結局、『かまってほしい気持ち』のあらわれとして、不倫や散財に向かってるだけだからね」
しみけん「空いた穴は、空けさせた男じゃないと埋められないのかもね」
はあちゅう「だからね、夫婦内片想いって、究極的には解決できない問題なんだよ」
しみけん「そうなると、次の段階は『離婚』!? 我々にとって、『もうこれは離婚しかない』状況ってなんだろう?」
はあちゅう「一般の夫婦だと、離婚すると奥さんが稼げないから我慢してるケースがあると思うけど、私たちはそれぞれ稼いでるから、それはない。だから私の場合は、けんちゃんと一緒にいて『私、不幸せだな』って思ったら離婚すると思う」
しみけん「どうなったら不幸せ?」
はあちゅう「けんちゃんが、『ただいま』って帰ってくるたびに、『うわ、また帰ってきたわ……』ってイラっとするとか、一緒にいるだけで気持ちが暗くなるとか。相手の憎らしい箇所を、積極的に探すような心理状態」
しみけん「生理的なもの?」
はあちゅう「私は、好きな人の欠点を『かわいい』って思えるタイプなので、けんちゃんの寝顔を見て、今はかわいいと思えてるけど、生理的に耐えられなくなって、『こいつ死なないかな……』と思い始めたら最後だよ」
しみけん「じゃあさっきの話で、『経済的な理由で離婚できないんだけど……』って、女性がはあちゅうに相談してきたら、なんてアドバイスする?」
はあちゅう「『じゃあ、あなた手に職つけな』だよ。本気で離婚したいと思ってるんだったら、離婚できない理由を解決するしかない」
しみけん「僕も同意見かな」
はあちゅう「離婚を口実に愚痴を言いたいだけの人も、けっこういると思うんだよ。『離婚したいけど、経済的な事情があって……』って言ってさ。そういう人って、『じゃあ働き始めたら?』って言うと、『それは……』と躊躇する。働きたくない気持ちが勝つ人のほうが、絶対に多い。結局、なんだかんだ言って、お互いに恋愛以外のメリットがあるから『夫婦してる』んだよ。それは世間体でも経済的な状況でもなんでもいいんだけど。一緒にいる理由が何かしらある間は夫婦でいられるけど、それがなくなっちゃったら、離婚したほうが幸せだと思う」
しみけん「完全に、そのとおりだね」
【はあちゅう】
1986年、神奈川県生まれ 慶應大学在学中より、ブロガー活動を開始。会社員経験を経て、2014年、フリーに。1月16日に新著『とらわれずに生きるための幸福論 じゃない、幸せ。』(秀和システム)を発売
【しみけん】
1979年、千葉県生まれ 1998年にAVデビューし、出演本数は約1万本の現役AV男優。最新刊に『しみけん式「超」SEXメソッド』(笠倉出版社)がある
取材&構成・稲田豊史
(週刊FLASH 2020年2月11日号)