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生後1カ月から3カ月の乳児に少量の粉ミルクを与えることで牛乳アレルギーの発症を予防する研究成果を、かりゆし会ハートライフ病院の崎原徹裕小児科部長らが共同研究として発表した。母乳と合わせて粉ミルクを定期的に摂取することで、母乳からの栄養を阻害することなく牛乳アレルギーの発症割合を抑えることができたという。

 

崎原医師を研究責任者として、沖縄協同病院、那覇市立病院、琉球大学病院の4院で500人の乳児を対象に実験した。生後1カ月から3カ月に達する前まで、1日あたり10ミリリットル以上の粉ミルクと母乳を摂取する「摂取群」と、粉ミルクを摂取せず母乳で不足する場合は大豆粉乳で代用する「除去群」に分けて、生後6カ月の時点で牛乳アレルギー発症割合を調べた。

 

牛乳アレルギー発症率は摂取群が0.8%だったのに比べ、除去群は6.8%だった。崎原医師は「生後1カ月目からの定期的な粉ミルク摂取で、アレルギーの発症を抑える可能性がある」と説明する。

 

一方で、粉ミルクを早期摂取するだけでは母乳からの栄養を阻害する可能性もあると指摘した。実験では両群とも母乳栄養継続率は約70%と高かった。「粉ミルクを摂取するだけではなくて、母乳栄養もしっかり継続する必要がある」と強調した。乳児湿疹やアトピー性皮膚炎がある場合も、食物アレルギーを発症するリスクがあるため、早期摂取と併せた湿疹の管理も重要だとした。

 

崎原医師は「これまで牛乳アレルギーの有効な予防法が世界的に報告されてなかった」として、今後は県内で予防法を広く伝えていく考えを示した。

 

論文は米国のアレルギー学会が発行している雑誌「Journal of Allergy and Clinical Immunology」に掲載された。

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