作文を通して自分の経験を伝え、入院中や闘病中でつらい思いをしている子の希望になりたい―。沖縄尚学高校3年の片山祈実香(きみか)さん(17)は急性リンパ性白血病と闘った経験があり、自らの経験をエッセーに込めた。片山さんの作品は第21回検査がくれたもの(日本衛生検査所協会主催)と、第21回愛恵エッセイ(愛恵福祉支援財団主催)学生の部で最優秀賞に輝くなど高く評価された。
片山さんは中学2年生の2016年12月、急性リンパ性白血病と診断された。入院生活や外来治療を続け、症状やがん細胞の検出などがなくなる「完全寛解」が目前となった。19年4月には、入院時に服用したステロイド剤の副作用で、骨壊死(えし)と診断された。全身に症状が出る多発性骨壊死となり、車いす生活を送ることになった。
白血病の診断を受けた当初、事実を受け入れられなかったという。それでも入院中に通った院内学級で、病気と闘う子どもたちの姿を見て勇気をもらい、次第に自らの病気を受け入れるようになった。一緒に入院していた子どもがスポーツ大会で活躍する姿も見ることができた。片山さんは「文章を通して、今度は私が『病気になっても希望を捨てなくていい』と伝えたい」と前を向くようになった。
今回、最優秀賞に選ばれた2作品は、それぞれ異なるテーマで自身の経験を語った。第21回愛恵エッセイで最優秀賞に輝いた作品は「障がい」がテーマで、車いす生活をして初めて気づいたことを、海外と比較して書いた。第21回検査がくれたものでは「病気と血液検査」をテーマに、白血病の治療や経過観察に重要な血液検査に関するエピソードを言葉にした。
片山さんは「最優秀賞を取れると思わなかった。周りの人が喜んでくれたので、応募してよかった」と笑顔を輝かせた。
片山さんは治療を続けて、19年7月に完全寛解となった。完全寛解の状態が5年続けば完治したと言われている。現在、高校3年生で大学受験を控える。「AI(人工知能)の研究を通して自分の経験を伝えたい」と将来を見据え、夢に向かってまい進している。
(吉原玖美子)