埋め立てや護岸工事が進められる新基地建設現場=9月3日午後、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸(小型無人機で撮影) 画像を見る

辺野古新基地建設を巡って、司法は再び埋め立て承認撤回の中身に踏み込まない判断を下した。那覇地裁は27日の「抗告訴訟」判決で、埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の決定を違法とする県の訴えが審理の対象にならないとして却下した。同様の“門前払い”の判断は、これまでの裁判や、県が審査を申し出た総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」などでも繰り返されてきた。新基地建設に反対してきた県民からは、あきれたような声が漏れた。

 

「予想はしていたが、また門前払いだ」。辺野古新基地建設に反対する名護市三原の浦島悦子さん(72)は、判決内容を聞いてため息をついた。「中身の議論に入らず却下とは、国の意向をくんで、県にものを言うなということだ。地方自治や民主主義が無視されており、司法はもっと自立して役割を果たしてほしい」と注文を付けた。

 

名護市の米軍キャンプ・シュワブゲート前では27日も抗議行動が続いた。那覇市から駆け付けた大城博子さん(69)は「今の日本の裁判所には期待していない」とあきれる一方で、「県も訴訟だけでなく、基地建設を止めるためにあらゆる方策を考えて地方自治を発揮してほしい」と要望した。

 

宮古島市で陸上自衛隊配備計画への反対を訴えるミサイル基地いらない宮古島住民連絡会の仲里成繁代表は「埋め立て承認は間違っているという県民の考えを基に県は撤回した。裁判所で審理しないならどこに聞けというのか」と語気を強めた。辺野古を巡るこれまでの訴訟にも言及し「中身に触れないまま退けられ続けている。この国は本当に三権分立なのかと疑問に思う」と指摘した。

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