「今までにない、荒れる大会になるかもしれません」
12月24日に開幕する全日本フィギュアスケート選手権について、フィギュアスケート評論家の佐野稔さんはこう語った。
「通常は、シーズン初期の試合でプログラムの調整などをしながら、徐々に調子を上げていく。しかし今シーズンは開催中止の大会も多く、読めません」(佐野さん・以下同)
特に羽生結弦(26)と宇野昌磨(23)については、この大会の予選を含め、今シーズン一度も試合に出場していない。
「羽生がどんなプログラムを持ってくるのか。4回転をどう構築するのか。今年度一発目、要チェックです」
羽生は昨年、同大会に4年ぶりに出場し、初めて後輩の宇野に敗北を喫した。演技後には1位を勝ち取った宇野へあたたかいエールを送った一方、「『全日本王者』って大変だよ」という、絶対王者としてのプライドを感じさせる一言も。
「(FSは)本人の動きも硬かった。GPファイナルでもネイサンに勝てなかったし、宇野は出場自体していなかった。悔しさも残したシーズンだったのでは」
前代未聞の大荒れを予想するだけでなく、「アイスダンスでの高橋(大輔)も楽しみだし、今年は男子も女子もいい」と期待も寄せた佐野さん。そんな、佐野さん注目の3選手を紹介。
■佐藤駿(16)
「4回転ルッツが勝負」(佐野さん)。日本人での成功者は羽生と佐藤のみの高難度のジャンプだ。2人は出身も同じ仙台。羽生の後継者となるか。
■鍵山優真(17)
父は五輪に出場した元フィギュア選手。表現力に優れ、「著名振付師のローリー氏によるプログラムをどこまで磨いてくるかに期待」(佐野さん)
■本田ルーカス剛史(18)
今年の全日本ジュニア選手権で初優勝。同大会FSのスピンでもすべて最高評価を獲得。「なんといっても表現力が素晴らしいです」(佐野さん)
全日本フィギュアスケート選手権は、羽生のリベンジをはじめ、見どころ満載の大会となりそうだ。
「女性自身」2021年1月5日・12日合併号 掲載