(撮影:御堂義乘) 画像を見る

「今の状況は戦時下とよく似ています」……夏に行ったインタビューでも、そう語っていた美輪明宏さん(85)。第3波が猛威を振るい、相変わらず収束が見えないコロナ禍のなか迎える新年を、私たちはどう生きればいいのだろう? 美輪さんからの新しい1年に歩み出す希望の提言ーー。

 

’20年は、世界中が新型コロナウイルスに翻弄され続ける1年となりました。

 

ここにきて国内では東京、大阪、北海道、兵庫など各地で、一日での新規感染者数が過去最多を記録するなど、第3波の猛威は、すでに第1波、第2波を超える危険な状態だと感じております。

 

コロナによって、社会は一気に激変しました。外にばかり目を向けた生活から、家の中でこもる生活へと変化しました。これは知性と教養を身に付けるいいチャンスです。この機会に、日本の伝統文化、芸術を学んでください。

 

じつは日本の家の中は、文化の宝庫。たとえば、陶器がいい例です。洋食器というのは簡単で、小皿やパン皿など種類はいくつもありません。形だって大して変わらないでしょ? 日本の家庭の台所には、中華皿、洋皿から和食器、○○焼のお皿など、とにかく食器の種類が豊富。こんなにお皿がある台所は、世界で日本ぐらいです。

 

まさに食器の文化、食の文化のすごさがわかります。私たちはそういうことを誇りに思うべきです。

 

忘れかけていた伝統と文化を掘り起こす。そして、人間としてのレパートリーを増やす。今はそういうチャンスだと、お思いになってください。

 

伝統と文化を世界に伝えていけば、日本はもっと認められるでしょう。

 

家の中で過ごす時間がある今だからこそ、家の中でできることをもう一度見直すーー。そうすれば、コロナが収束した暁には、人間的にすごい財産ができている。一生の役に立ちます。

 

「温故知新」ーー昔を学び、知恵をつけることで、精神的修行者としての今の自分の立ち位置、置かれている状況などが見えてきます。

 

そうすると、自分がどれだけありがたい存在であるか。いろんなことが学べて、新しい発見もいっぱい出てきます。

 

“ありがたみ”や“感謝”が、自分自身という身近なところにあることに気づく。

 

感謝の気持ちを知ることで、自分自身を見つめ直すことができれば、’21年の新たな生き方も発見できるでしょう。

 

「女性自身」2021年1月5日・12日合併号 掲載

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