「これまで、何度も上皇ご夫妻をお招きしてコンサートを開催してまいりました。昨年の公演は、コロナ禍で上皇ご夫妻にお越しいただくことは叶いませんでしたが、たいへん温かいお心づかいをいただきました」
本誌の取材にそう語ったのは、サントリーホールの関係者。新型コロナウイルスの猛威は昨年、音楽界にも大きな打撃を与えた。緊急事態宣言の発令を機にいくつもの公演が中止になり、各地のオーケストラは存続の危機に。
そんな中、徹底的な感染対策を講じて来日公演を実現させたのがウィーン・フィルハーモニー管弦楽団だった。東京では11月にサントリーホールで公演を開催。そこに、上皇ご夫妻も招待されていたのだが、
「上皇ご夫妻は会場にお越しになれないにもかかわらず、招待への謝意としてご夫妻と随行員のチケットを購入してくださったのです。その空いた席は空席とせず、一般の方に購入いただくようにとのご配慮もありました。公演のあとには上皇ご夫妻のもとに、指揮者のワレリー・ゲルギエフ氏による謝意が記されたプログラムや、演奏家たちからの礼状が届けられました。宮内庁を通じ、上皇ご夫妻はたいへんお喜びになっていたとの連絡をいただきました」(前出・サントリーホールの関係者)
昨年の美智子さまの誕生日には《生業を制限され、スポーツや音楽その他の芸能活動等を自粛する人々の置かれた厳しい状況を案じてこられました》とのご心境を、上皇職が伝えていた。
じつは、上皇ご夫妻による“自腹”の音楽界支援は、これだけではないという。
「コロナ禍により、演奏をインターネット配信する“オンラインコンサート”を無観客で行った楽団も数多くありました。上皇ご夫妻は、そうした公演のオンライン視聴券を購入され、音楽界を応援されているのです。こういった、苦境の音楽界を救う活動は美智子さまのご発案なのだそうです」(宮内庁関係者)
1月18日には上皇陛下がオンラインで学会に出席されたように、上皇ご夫妻はリモートの活用にも積極的。ご家族とリモートで会話されることもあるという。
「美智子さまは左手のしびれがおありで、ピアノを長い時間お弾きになれないそうです。外出自粛生活を続ける美智子さまにとって、YouTubeなどで配信されるオンラインコンサートはかけがえのない楽しみであり、より多くの人々に音楽が届いてほしいという思いがおありなのでしょう」(皇室担当記者)
コロナ禍だからこそ、心を豊かにする音楽を――。それこそが美智子さまの秘めたる願いなのだ。
「女性自身」2021年2月16日号 掲載