17年11月、閖上地区の慰霊碑に供花される両陛下 /(C)JMPA 画像を見る

東日本大震災の発生から10年となる3月11日、天皇陛下は東京・国立劇場で開かれた犠牲者の追悼式に雅子さまとともにご出席。陛下は被災地、被災者へ寄せる思いを述べられた。

 

「復興が進む中にあっても、新しく築かれた地域社会に新たに人と人とのつながりを培っていく上では課題も多いと聞きます。家族や友人など親しい人を亡くしたり、あるいは住まいや仕事を失い、地域の人々と離れ離れになったりするなど生活環境が一変し、苦労を重ねている人々のことを思うと心が痛みます。また、原子力発電所の事故の影響により、人々がいまだに自らの家に帰還できない地域や、帰還が始まったばかりの地域があり、農林水産業への風評被害の問題も残されています」

 

10年という長い歳月が経った今でも、復興は道半ばであり、さまざまな課題を挙げられて“震災は現在も続いている”と強調されたのだ。震災を風化させまいという強いお気持ちが伝わってくる。

 

異例の長さともいえる6分間にわたるお言葉は、雅子さまとご一緒に、10年間の被災地訪問を振り返りながら、追悼式の直前まで推敲を重ねなられたという。その表れとして、お言葉のなかでは、「皇后と共に」と2度も言及されている。

 

「私も、皇后と共に、被災地を訪れてきましたが、関係者の努力と地域の人々の協力により、復興が進んできたことを感じています」

 

「私も、皇后と共に、今後とも被災地の方々の声に耳を傾け、心を寄せ続けていきたいと思います」

 

陛下はこれからも雅子さまと“二人三脚”で、被災地に心を寄せていく意志を示されたのだ。

 

これまで両陛下は皇太子ご夫妻時代に、被災した岩手、宮城、福島の3県を3回ずつ訪問されている。追悼式を前にした3月4日には岩手県、3月17日には宮城県の被災者たちとオンラインで懇談された。今後、福島県へのオンライン訪問も検討されているという。

 

陛下は今年2月のお誕生日会見で、こう述べられた。

 

「私も雅子も、今後とも被災地の方々の言葉に耳を傾け、被災された方々の力に少しでもなれるよう、被災地に永く心を寄せていきたいと思っています。そしてまた、機会があれば、10年を超す歳月を経た被災地を訪れてみたいと願っております」

 

10年を節目、区切りと考えるのではなく、さらなる復興のスタートとしてとらえるためにも、陛下と雅子さまが被災地を再訪される日が待たれる――。

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