「欽ちゃん番組」を支えた欽ちゃんファミリー 画像を見る

住んでいた場所は違っても、年齢が近ければ「そうそう! わかる」って盛り上がれるのが、青春時代におなかを抱えて笑ったバラエティ番組の話。活躍する同世代の女性と一緒に、“あのころ”を振り返ってみましょうーー。

 

「’80年代に青春時代を送った世代は、欽ちゃん(萩本欽一)といえば、坂上二郎さんとのコンビ『コント55号』よりも、『スター誕生!』(’71〜’83年・日本テレビ系)や初期の『24時間テレビ 愛は地球を救う』(’78年〜・日本テレビ系)、先日、司会を降板することを宣言した『全日本仮装大賞』(’79年〜・日本テレビ系)の印象が強いのではないでしょうか。さまざまなジャンルの番組を築き上げてきた先駆者であることがわかります」

 

そう語るのは、世代・トレンド評論家の牛窪恵さん(53)。

 

毎週月曜の『欽ドン!良い子悪い子普通の子』(’81〜’83年・フジテレビ系)、水曜の『欽ちゃんのどこまでやるの』(’76〜’86年・テレビ朝日系)、金曜の『欽ちゃんの週刊(欽)曜日』(’82〜85年・TBS系)の数字を合計して“視聴率100%男”とも、欽ちゃんは呼ばれた。

 

「当時、人気のあった『オレたちひょうきん族』(’81〜’89年・フジテレビ系)の笑いはきわどく、毒があり、いまのコンプライアンスに照らすと、アウトなものも多くありました。でも、欽ちゃんの笑いは人を傷つけません。先日、(渡辺直美に豚に見立てた衣装を着せたら、と提案して)反感を買った東京五輪の演出案などとは真逆で、容姿を笑いものにすることもありません。だから、欽ちゃんの番組は、親が子どもに安心して見せることができたのです」

 

元祖“人を傷つけない笑い”は欽ちゃんからだった!専門家が分析
画像を見る 『欽どこ』の三つ子姉妹役・高部知子、倉沢淳美、高橋真美は歌手デビューも果たした

 

それゆえ、欽ちゃんファミリーの一員だった高部知子が、写真週刊誌にベッドでたばこをくわえた写真を掲載されたときは、視聴者も大きなショックを受けた。

 

「『欽どこ』ではコメディドラマ仕立てで、ほんわかしたファミリー像を描いていた欽ちゃん。ちょっとドジな子どもたちを、欽ちゃん演じるお父さんが叱ると、真屋順子さんが演じるお母さんがまあまあとやさしくいさめるーー。アメリカナイズされたバブル期に向かい始める時代のなかで、昭和的な落ち着ける家族像が求められた面もあるでしょう」

 

牛窪さんは『欽ドン!』が放送されていた、月曜夜9時という時間帯にも注目している。

 

「ワクワクの土、日を過ごし、月曜の夜は“あと4日も5日も仕事や学校があるのか”と、心身ともにうんざりするとき。ほっと笑える番組が癒しを与えたのです」

 

その人気コーナー「良い子悪い子普通の子」は、ラジオのように視聴者から寄せられたはがきをもとに作られていた。

 

「こうして視聴者参加型のテレビ番組も、当時はまだ珍しかったように思います。現在、Twitterによる投稿を募りながら進行する番組がありますが、その原型でもあるのです」

 

「女性自身」2021年5月4日号 掲載

マーケティングライター、世代・トレンド評論家

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