北中城村在住の者です。近くの森の中から「ホーホー、ホーホー」という鳴き声がよく聞こえるのですが、フクロウなのでしょうか。もしフクロウだとしたらどんな種類か知りたいです。
(北中城村 シマブクロウさん)
夜にオオコウモリが飛んでいるのはよく見かけますが、フクロウも沖縄にいるのでしょうか?
3種類が生息
というわけで、県内の野鳥に詳しい沖縄県鳥獣保護管理員の糸数多寿子さんにお話を聞くことにしました。
「おそらく、それは『アオバズク』である可能性が高いと思います」と糸数さん。一瞬のうちにして答えが出てくるとは、さすがです!
聞けば、沖縄本島内には「アオバズク」「リュウキュウコノハズク」「リュウキュウオオコノハズク」という3種のフクロウ類が留鳥(季節による移動をせず、一年中同じ地域に留まる鳥)として生息しているとか。 名前の最後に付く「ズク」はフクロウの古名。「ミミズク」は耳のあるフクロウという意味なのだそう。
ちなみに―。大まかに、耳のないのが「フクロウ」、あるのが「ミミズク」と呼ばれるようですが、耳のように見えるのは、実は耳ではなく、「耳羽(じう)」と呼ばれる羽毛なのだそうです。
じゃあ本物の耳はというと、実は人間と同じように顔の横についていて、しかも両耳が左右対称ではなく、少しずれた位置についています。これにより、音を立体的に聞き分けることができるのだそう。
ついでにフクロウの豆知識を紹介しておくと、すーっと音もなく飛んで、鋭い嘴(くちばし)と爪で獲物を捕まえる「森の忍者」とも呼ばれています。音を立てずに飛べるのは、羽根の先端がノコギリ状になっているため。この形は新幹線のパンタグラフにも応用されているそうです。いやはや、なかなかフクロウも奥が深いですね。
いい森にいる
さて、話を沖縄本島内のフクロウに戻しましょう。
「フクロウ類は樹洞を巣にして繁殖します。巣が作れるような古い大木が多い森にはフクロウ類がいる場合が多いですね」
沖縄は森も豊かな島なのでフクロウも生息しやすいのでしょうか。
「沖縄本島に生息する3種のうち、リュウキュウコノハズクは北部の森林にしかいません。中南部にもよくいるのはアオバズクです。リュウキュウオオコノハズクは中南部の森林にもいますが、アオバズクよりも森の奥深いところにいることが多いですね。鳴き声の特徴からも、質問者さんが聞いた鳴き声はアオバズクだと思われます」
では、それぞれの特徴を簡単にまとめてみましょう。まずは「アオバズク」。体長29cm程度で、耳羽がないダルマのような頭。腹面は縞模様で、眼は黄色。「ホウホウ、ホウホウ」と低い声でよく鳴きます。
次に「リュウキュウオオコノハズク」。体長24・5cm程度ですが、横幅があるため比較的大きく見えます。眼はオレンジ。あまり鳴かず、「ホッ、ホッ、ホッ、ホッ…」と後半が尻下がりの声で鳴くそう。
最後は「リュウキュウコノハズク」。いちばん小型で体長20cmほどで、眼は黄色。「コホッ、コホッ」と鳴くため、方言では「チコホ」とも呼ばれているそうです。
「沖縄本島のフクロウ類は小型なのも特徴ですね」。体長20~30cm程度ですから、ハトぐらいの大きさでしょうか。
「フクロウがいるということは、繁殖できるいい森、大切にされている森があるということ。フクロウがいると、いい森であることを証明してくれます」と糸数さん。
夜行性で素早く飛ぶ鳥なので姿を見るのは難しいようですが、声を聞くことはよくあるそう。森の近くに住む方は、夜、フクロウの声を探してみてはいかがでしょうか。
(2021年6月24日 週刊レキオ掲載)