泉水いづみ(以下・いづみ):おぼんさんが私の結婚式の直前まで現れなかったので、「え? もしかして来ないパターンもあるのかな」とちょっとドキドキでした。だから、おぼんさんが現れたときに泣いちゃって、せっかくきれいにメークしてもらったのに。
井上千尋(以下・千尋):私も知らなかったので、式場の扉が開いたときに「ワァーよかった!」って。
いづみ:でも、あそこが最高潮でしたね(笑)。
おぼんの娘の井上千尋さんと、こぼんの娘の泉水いづみさんはそう振り返る。
10月6日に放送された『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で、およそ6年にわたる確執を克服し、和解に至ったおぼん・こぼん。
いづみさんの願いにおぼんが応え、バージンロードをこぼんと3人で歩くという願いは実現したものの、そこから始まったのは地獄だったという。いづみさんと千尋さんがその舞台裏を明かす。
いづみ:私の結婚式で仲直りを目指そうという話は番組からいただいていたんですが、’20年3月に予定していた結婚式はコロナで延期に。結局、できたのは今年8月でした。
結婚式場の壇上から、和解を呼びかけた花嫁姿のいづみさん。握手を促され、おぼんは「こいつ(こぼん)が意思表示するなら」と答えたが。
いづみ:おぼんさんの言葉が出るまで放送上はすぐだったんですが、現場ではすごい間があったんです。
千尋:めちゃくちゃ長くて、その間ずっと沈黙で……。たぶん10分ぐらいあったと思います。体感だと1〜2時間に感じました。地獄でしたよ(笑)。
いづみ:あの間を本当にノーカットで流してほしかったくらい。放送事故になっちゃいますけど(笑)。おぼんさんの言葉に対して、父が「普通に戻りましょか」と言ったときは、うまくまとまるな、と。でも、そこでおぼんさんがかたくなになるとは思いませんでした。
千尋:私はこぼんちゃんが「普通に戻る」って言ってくれてるのに、「何で、のまねぇんだ。ふざけんな、くそじじぃ」と思って(笑)。こぼんちゃんに対して申し訳ないという気持ちでした。
いづみ:それで、おぼんさんが「もう終わりだ」と言って出ていってしまったんです。式場に残された私たちはまったく状況がわからず……。みんなずっと沈黙で、お葬式みたいになっていました。だからナイツと式場に戻ってきたおぼんさんが、「新郎新婦だよ」ってボケたときも、式場は凍り付きました。後で放送を見るまで、式場裏の流れ(ナイツとマネージャーの谷川金市さんによる説得)がわからないから、なんでおぼんさんが再び現れて握手しようとしたのか、おぼんさんの心の中が見えなかったんですね。そこが、父は納得できなかったんだと思います。
千尋:うちの父が一方的に握手した後、こぼんちゃんのほっぺたをたたいたでしょ。あれもよくなかったと思う。父なりの照れ隠しだったんですが、裏目に出てしまったんですね。
今度はこぼんが和解を拒否。芸人引退まで宣言してしまう。
いづみ:もうダメだと思いましたね。父はあまり感情に任せて、そういうことを言うタイプじゃないので、考えて出た結論なら仕方がないと思いました。
千尋:最後のほうは、もう記憶がないんです。怖すぎて……。
いづみ:その後、おぼんさんも父も控室に行ってしまって、私は式に来てくれた人たちにお礼を言ったりしていました。しばらくしたら父とナイツが戻ってきて、またしばらくするとおぼんさんが戻ってきて。急に「もういっぺんやり直そう」と、父と握手をして。
千尋:本当に急展開でしたね。
(取材・文:インタビューマン山下)