「2010年のバンクーバー大会の浅田真央選手以来、女子フィギュアスケートで12年ぶりのメダル獲得の快挙を成し遂げた坂本花織選手に対し、信じられないことに中国の一部から“的外れの批判”報道が出ているんです」(スポーツライター)
カミラ・ワリエワ(15・ROC)のドーピング問題で揺れに揺れた北京五輪女子フィギュアスケート。2月17日、フリープログラムで自己ベストを更新して見事、銅メダルを獲得したのは坂本花織(21)だった。
2月15日のショートプログラムも3位で通過した坂本は、競技後の上位3選手への記者会見に応じた。
会見に参加したメディアの記者が、「ドーピング疑惑で問題になっているカミラ・ワリエワに同情するか」と質問した。対して坂本は「同情もしていないけれど……」と神妙に答えながらも「難しいな……」としばらくの間考えてから
「今競技をすることに必死で、今は考えないようにしている。それを考えるよりもまず先に自分が、この舞台でいかにベストを尽くせるかっていうことを最初に考えたい」
と、冷静に答えた。フリー当日も周りに流されず自身の演技に集中し、持ち前の安定した演技を見せた坂本。その姿勢に賞賛の声が集まる一方で、現地の『新浪ニュース』などでは、彼女の発言を批判的に報じたのだ。
「坂本の発言を『同情する必要がありますか? そうは思わない』と断片的にとりあげ、『坂本は冷酷だ』と誤解を誘うような、的外れな指摘をしたのです。
実は開催国・中国ではROC(ロシア・オリンピック委員会)に属するアンナ・シェルバコワ(17)、アレクサンドラ・トゥルソワ(17)、ワリエワの3人の人気がとても高く、『ロシアの三人娘』という愛称まであるのです。
そのため、ワリエワの調子が振るわず、女子ショートで4位になり涙を見せると、『日本の選手がロシア三人娘を差し置いて注目を集めている!』と報じたのです。一部の中国メディアは、坂本選手が銅メダルで喜んでいる様子を『3位の日本だけが笑っている』と揶揄したのです」(前出のスポーツライター)
坂本選手への許されない非難はそれだけではない。
「それに加えて、2020年のNHK杯での、審査員の顔の近くで足を振り上げて滑走した坂本選手の技を持ち出して『横暴だ』とする報道まで。ここまでくると、悪意としかいいようがありません」(前出のスポーツライター)
そんな中国の報道を受け、中国のSNS・Weiboでも同様のコメントが見られた。
《坂本花織が受賞した喜びだけを感じます》
《(上位4人の)写真を見てチャンピオンが(誰か)分かりますか?坂本花織の幸せな世界だけが実現した》
本来なら喜ばしいはずの授賞式。五輪開催国に、フェアプレーの精神はどこへ行ってしまったのかーー。