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【中編】西川美和監督明かす監督専業で生活できないことの苦しみ「映画の価値が低いと思わされる」から続く

 

今年2月に配信された『東スポweb』のインタビューで「映画では食べてないです」と話したことが、波紋を呼んだ西川美和監督(47)。本誌は西川監督にメールインタビューを敢行。前2記事では「なぜ映画で食べることができていないのか」という理由を明かし、映画製作が軽視される風潮から「自尊心を保てなくなる」とも語った。

 

そんな西川監督に「他国では、どのようなサポートが監督たちに行われていますか」と尋ねると、こう回答が。(インタビューは全3回中の3回目)

 

「国によって様々ですが、監督のみならず、映画のための全体的な支援額は、欧州や韓国と日本とではかなり差があると聞いています。

 

行政からの支援か、映画・映像業界の中で利益を循環させているか、その比率も国によって様々ですが、まず、ほとんどの国においては映画・映像業界を統括する組織や省庁は日本と違って一本化されていて、企画開発、出資、撮影、仕上げ、配給、劇場、海外セールス、あらゆる段階に対して多様な助成があり、また、それを利用しやすいような情報共有も進んでいるようです」

 

西川監督同様に、邦画界の問題点を訴えた監督がいる。それは『本気のしるし 劇場版』が’20年度カンヌ国際映画祭に出品されるなど、高い作品性が評価されている深田晃司監督(42)だ。深田監督は’20年12月、『現代ビジネス』にアップされた記事でこうコメントしている。

 

「日本はないないづくしだと感じます。 フランスや韓国のように映画を文化として守る制度や十分な助成金も、アメリカのような寄付文化や公正な市場を守ろうとする姿勢も両方が不足しています」

 

「日本の政府は主に映画の『制作』に特化して助成金を出していますが、これだけだとやはり効果的ではないですね。映画には、制作(企画開発・脚本・撮影・編集)、配給、宣伝、興行とさまざまな行程があり、公的サポートはそのすべてを支援できなければ充分であるとは言えません」

 

深田監督の考えに西川監督は同意し、「“公助”のみを求めているわけではなく、まず必要なのは業界内での“共助”のシステムだ、と認識されているのだと思います。映画の持続可能性や多様性を守って、豊かな文化として育てていくためには、利潤が業界全体のために活用され、制作のみならず、多岐にわたってサポートされるのが理想です」と明かす。その中でも、ミニシアターへの支援が重要だと語る。

 

「芸術的価値、世界的な評価の高い映画や、日本と交流機会の少ない遠い国で作られた映画、過去の名作のリバイバル上映をしてくれるミニシアターは、映画を観る目や文化の多様性や歴史を読み解く知性を培ってくれる重要な場所であるはずです。図書館同等に多くの市民や学生、子供達にとって身近な場所であれば良いと思います。

 

かつて日本にはミニシアターがたくさん存在し、東京は“世界一多様な映画が見られる都市”と海外の映画人からも羨ましがられていました。しかし現在、シネコンチェーンがヒット作を独占し、ミニシアターは非商業的な映画だけで少ない集客の中でやりくりしています。

 

ミニシアターをコロナ禍の影響下で潰れるがままに放置すれば、日本中、どこのスクリーンも同じ映画が一日中かかるばかりで、多様な映画に触れるチャンスはなくなると思います」

 

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出典元:

WEB女性自身

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