≪演技について。19歳で俳優を志し、以来多事ありでした。が、今86歳を前にして、本当に演技することが楽しい、と思う。これまで自分を守っていた「憶病」が殆どなくなり、発想が自由になった≫
10月20日、山崎努(85)がTwitterに“演技論”を投稿した。今年4月にTwitterアカウントを開設したばかりだが、この呟きは大きな反響を呼び、10月24日時点で7.1万いいねを記録している。
黒澤明監督の映画『天国と地獄』(’63年)で注目を浴び、半世紀近くにわたって第一線で活躍し続けてきた山崎。そんな山崎の60年以上の経験や思いが込められたツイートに、コメントが集まっている。
《カッコ良すぎる。 私も86歳まで生きてこの言葉を振り返りたい。》
《ここまで含蓄ある言葉に出会ったの久々、辿り着けるかなこんな風に》
《単純に憧れてはいけないと思いつつ、やっぱり仰ぎ見てしまう。 この境地にたどり着ける役者さんが、いったい何人ぐらいいるんだろう。 私には逆立ちしてもたどり着けない場所だけれど、その境地を想像しただけで鳥肌が立つ。》
今年4月からスタートした山下智久(37)が主演する連続ドラマ『正直不動産』(NHK)では、第1話と最終話でゲストとして出演。しかし、実は’19年5月公開の映画『長いお別れ』への出演以降、2年以上も表舞台から遠ざかっていた時期があったのだ。
休業状態だった背景には、妻である黛ひかるさん(82)への“老老介助”があったという。その現場を、本誌は昨年6月に目撃していた。
築約30年の、石段を積み重ねた自宅近くで、訪問介護のヘルパーと思しき女性に付き添われながらゆっくりと歩くひかるさん。そして、そのすぐ後ろには、杖をつきながら優しく妻を見守る山崎の姿があった。
「一昨年に、山崎さんの奥さまが自宅の階段で足を踏み外して、骨折してしまったそうです。これまでと同じように家事ができなくなったこともあって、訪問介護を依頼するように。山崎さんは家事を奥さまに任せることが多かったですが、家事だけでなく、奥さまを献身的に支えていたといいます」(山崎をよく知る近隣住民の女性)
山崎は、冒頭のツイートをこんな風に締めくくっている。
≪楽しい。よかった。ここまで身体、アタマが壊れなくてよかった、正直な感想です≫
60年を超える俳優人生、さらに妻の老老介助を経て新たな境地にたどり着いた山崎の演技がますます楽しみだ。