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住んでいた場所は違っても、年齢が近ければ「そうそう! わかる」って盛り上がれるのが、青春時代、欠かさず見ていたテレビアニメの話。活躍する同世代の女性と一緒に、“’90年代”を振り返ってみましょう――。

 

’77年以降に放送されたテレビアニメで、もっとも高い視聴率(39.9%、ビデオリサーチ【関東地区】調べ)を記録したのが、’90年10月28日放送の『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ系)。放送開始されてから、わずか9カ月後のことだった。

 

「’86年、少女漫画誌『りぼん』で連載を開始。同誌は恋愛系少女漫画が多かったことから、怠惰な小学生を主人公にした同作品は異色。しかし、’90年にアニメ放送が開始されると同時に、知名度が一気に高まりました」

 

そう話すのは、世代・トレンド評論家の牛窪恵さん(55)。

 

懐かしい昭和の日本の「あるある」を思い出したり、登場人物をかつてのクラスメートに重ねてノスタルジーに浸ったりできるのも、同作品の魅力。

 

「’70年代から’80年代前半にかけて人気を博した『時間ですよ』(’65~’90年)や『寺内貫太郎一家』(’74年・ともにTBS系)を代表としたホームドラマが衰退期で、バブル期はトレンディドラマ全盛。ほっこりする家族の物語を、『ちびまる子ちゃん』に求めた人が多かったのかもしれません」

 

■バブルと無縁の『子どものころ』に癒された

 

家族を描いた人気アニメといえば『サザエさん』(フジテレビ系)。この国民的人気番組の前枠での放送が、両者の視聴率に相乗効果をもたらしたのだろう。

 

「サザエさん一家は東京暮らしで、マスオさんは早稲田大学を卒業し、電車通勤をして商社に勤めるサラリーマン。実は、都会的な生活を送っています。一方でちびまる子ちゃんの物語の舞台は、静岡県清水市(現・静岡市清水区)。父・ひろしが仕事をしているような描写はなく、いつもほろ酔いでまる子にからむ。しつけに厳しいサザエさんの波平とは父親像が異なるほか、ご近所さんの多くが自営業で、地方都市のほのぼのとした日常が展開される。だから、飽きることなく2作品を楽しめたのでしょう」

 

まったりと脱力した雰囲気が特徴のまる子に、命を吹き込んだのが声優のTARAKOだ。

 

「何度か声優オーディションをするものの、なかなかまる子役が見つからなかったそうですが、TARAKOさんの声が作者のさくらももこさんに似ていたことから抜てきされたといわれています」

 

そんなまる子を中心に、ちゃらんぽらんな家族たちが織り成す物語には、日曜夜の憂うつさを忘れさせてくれる魔法の力があった。

 

「バブルの時代、自分を犠牲にしてあくせく働いていた会社員にとって、癒しになったはずです」

 

【PROFILE】

牛窪恵

’68年、東京都生まれ。世代・トレンド評論家でマーケティングライターとして『ホンマでっか!?TV』フジテレビ系)など多数の番組で活躍

マーケティングライター、世代・トレンド評論家

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