チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世(87)が、12歳の少年の唇にキスをし、「舌を吸って」と要求する動画がネット上で拡散され、物議を醸している。
動画は、インドの寺院で行われたチャリティイベントでの一幕を収めたもの。聴衆の少年が「ハグしてもいいですか?」と尋ねると、ダライ・ラマ14世は「いいよ、おいで」とステージ上に招き、「まずはここから」と頬を指さしてキスをさせた。抱きついた少年が体を離すと、ダライ・ラマ14世は彼の腕を掴んで引き寄せ、唇へのキスを強要し、さらに「舌を吸いなさい」と自らの舌を突き出した。会場からは笑い声が起こっていた。
4月10日、ダライ・ラマ14世のTwitterアカウントは少年に謝罪する声明を掲載。
「小さい男の子が猊下にハグをせがむ動画が広まっています。彼とその家族や友人達に、猊下の言葉によって引き起こされたかもしれない痛みに対し、猊下は謝罪したいとの意向を示しておられます。猊下は時折、公衆の面前であっても無垢で遊び心のあるやり方で人々をからかうことがあります。彼はこの出来事を悔いています」
動画の内容に加えて、性的虐待という批判が巻き起こっていることを無視したこの謝罪文に、聖職者による虐待を受けた人々を支援する団体「Survivors Network of Those Abused by Priests(以下SNAP)」がダライ・ラマ14世を激しく非難する声明文を出した。
「今回の件は、権力者がいかに自らの地位を利用し、他者を犠牲にして利益を得ているかということを示すものです。聖職者による性的虐待のあり方としてあまりにもよくあるケースです」と、ダライ・ラマ14世の行為が性的虐待であったと非難し、次のようなコメントを表明している。
「ダライ・ラマ14世と無防備な訪問者たちの間で、このような“遊び心“のある行為がどれほど行われていたかを知りたい。(中略)いずれにせよ、87歳の老人が、公共の場で少年にあからさまな性的行為を求めるということは、非常に不愉快です。私たちは子どもに対する性犯罪を目撃した人、あるかもしれないと疑う人、被害を受けた人は、その犯罪の程度に関わらず、全員が法執行機関に報告することが重要だと考えています。それが他の子どもたちを守り、悪事を暴き、回復への一歩を踏み出す最前の道なのです」