「この日、山田選手のホームランを打つ様子がテレビ中継などで放映されていました。ホームランボールの落下地点付近に少年がいたものの、ある男性が2席横から入り込んで少年からボールを取り上げたかのように見えるシーンが映り込み、この動画は瞬く間にSNSで拡散されました。
またその男性と思しきTwitterアカウントがホームランボールを獲得したと報告していたため、SNSを中心に男性への非難が集中する事態に。それだけでなく男性の本名や住所など個人情報を特定する動きも広まっていきました」(スポーツ紙記者)
5月2日に東京ドームで行われた巨人対ヤクルト戦。その6回表でヤクルトスワローズの山田哲人選手(30)が放ったホームランボールを「観客の男性が子供から奪ったのでは?」という騒動は、いまだネットを中心に話題を集めている。
そんななか8日、当該男性の代理人弁護士はTwitterを通じて声明を発表。該当シーンの動画をアップした上で、こうツイートした。
《実際のところ、「もっちー」氏(編集部注:男性のアカウント名)がホームランボールを手でキャッチしようとしたところ、同氏の手にあたりボールがバウンドし、手すりに当たり、さらにバウンドしたところを最終的に「もっちー」氏がキャッチしたのです。このことは、添付した動画をご覧頂ければお分かりいただけると思います。したがって、決して「もっちー」氏が少年のキャッチしたボールを奪い取ったという事実はありません》
さらに、代理人弁護士は《今回のことで看過できないのは、「もっちー」氏の実名・顔写真を挙げたり、さらには居住地、親族の写真をも晒したりしたSNS,ブログなどがあり、これらが広く拡散されていることです。これは明らかにプライバシー侵害です。「もっちー」氏及び家族の生活の安全を脅かすものであり、到底許されるものではありません》といい、《現在、誹謗・中傷の著しい投稿やプライバシー侵害が著しい投稿について保存行為等を行なっており、法的措置を検討しています》と明かした。
代理人弁護士の声明に対し、ネットでは納得した上で、個人情報の特定などについて、“やりすぎ”という同情の声が。
そのいっぽうで、日本野球機構は「試合観戦契約約款」で禁止行為の1つとして「ボール等の追いかけ、その他理由の如何を問わず、他の観客に損害を及ぼしうる行為」と定めているため《誹謗中傷、プライバシーの侵害はやり過ぎだけど自分の席から離れてまでボールを取りに行った行動はモラルとしてどうなんだろう》という当該男性への指摘も相次いでいる。
SNS上で、男性の行為について議論が噴出し、個人情報を晒す人まで出るなど加熱する“場外乱闘”。そこで本誌は「株式会社ヤクルト球団」に取材を申し入れ、男性の行為についての見解、男性が誹謗中傷を受けていることについて今後の対応などを尋ねた。すると、広報部はこう回答した。
「いただいた質問内容については、回答を控えさせていただきます。球団としては、観戦ルール、SNSの投稿マナーなどを守っていただき、これからも楽しい野球観戦とスワローズへの温かいご声援をよろしくお願いします」
果たして、この“場外乱闘”はどう着地するのか――。