米ノースカロライナ州で先月、木に登っていた野生のツキノワグマの子どもを男女のグループが無理矢理引きずろ下ろし、自撮りをする様子が拡散され大炎上した。女性の腕から落とされた子グマは逃げ出し、ひとりぼっちで震えているところを動物保護団体に救助された。NEW YORK POSTなどが報じている。
「この時期、安全な木に子グマを残し、母グマがその場を離れることは珍しくありません」とABC13に語ったのは、ノースカロライナ州野生生物資源委員会に所属する生物学者、アシュリー・ホッブスさん。警官から連絡を受けて子グマを保護した彼女は、次のような怒りも露わにしている。
「子グマは全身濡れて冷え切っていて、かなり長い時間一匹でいたようでした。子グマを木から引きずり下ろした人たちを特定し、いかにあの行動が無責任で命に関わるものであったかを言い聞かせました。野生動物に囲まれて山で暮らせるのはとても幸せなことなのに、ああいう無責任な人たちを見ると腹が立ちます」
野生のクマとの共存について啓蒙する団体「Help Asheville Bears」の創設者ジョディ・ウィリアムスさんも、この自撮りの動画を見て心を痛めたという。
「子グマがかわいそうで、あの人たちの無知を本当に申し訳なく思いました。すべては自撮りのため、すべては自撮りのため。人間は子グマをつかまえてはいけないということをもっと学び、理解する必要がありますね」と苛立ちを隠さずABC13の取材に答えた。
保護された子グマは約2週間、アパラチア野生生物保護区で手厚いケアを受け、順調に回復しているという。自撮りしたグループは、野生生物資源委員会が起訴しないことを決めたため、罪に問われることはなかった。しかし本件で生じた“デジタルタトゥー”は消えず、今後も大きな代償を払うことになりそうだ。