来年の大阪・関西万博を運営する日本国際博覧会協会は5月1日、万博のボランティアに目標だった2万人の2.7倍にあたる約5万5000人の応募があったと発表した。
大阪府の吉村洋文知事は1日、「1人でも多くの方が万博ボランティアに参加できるように調整をしていきたい」と述べ、今後は抽選が行われる予定だ。
想定以上の応募があった理由について、博覧会協会は、”活動時間が1日3~6時間で会期中5日間以上と参加しやすいこと”と、”大学への協力の呼びかけに力を入れたため”と説明している。
「ボランティアは18歳以上が対象で、今年1月26日から募集を開始し、4月30日が締め切りでした。3月8日時点での応募状況は7894人、3月29日は12890人。4月5日時点でも1万5027人と目標に届かず人手不足が懸念されていました。ところが、最後の3週間強で約4万人も一気に積み上げたため、”一体何が起きたのか”と話題になっています」(地元紙記者)
実は、昨年8月23日に『朝日新聞デジタル』が「万博協会と大学団体が協定 ボランティア・イベント参加が単位にも?」という記事を配信し、《協会は大学を通じて学生に万博への参加を呼びかけ、ボランティアの募集もする》《大学側は、万博での活動を学業の単位に認めるなど教育や研究活動への活用を検討する》と報じていた。
実際に、今年1月29日に開催された《「学生ボランティアが活躍する大阪・関西万博」をともに考える》という会合の議事録によると、博覧会協会が《ボランティア 活動を研究、また支援している大学が万博でのボランティア活動の単位認定を検討いただけるようであれば、大変ありがたい》と、参加した大学側に呼びかけていたことがわかる。
こうしたことから、急激なボランティアの増加が”単位と引き換え”なのではないかとの憶測が広がり、ネット上では《学徒動員》《労働力の搾取。見返りは単位》《単位は学問を修めたことに対する証だろ》《単位と交換するのがボランティアなのか 大学の看板降ろせ》などと批判の声も上がっていた。
そこで1月に開催された大学と博覧会協会による”学生ボランティアを考える会”に参加した10大学のうち7校に、万博ボランティアに参加すると単位が認定されることがあるかを確認した。
「そのような措置はしていない。学生が自主的に参加するものとして扱っている」(大阪公立大学)
「特に決まってない。現時点で万博のボランティアをしたら単位を上げるというアナウンスはしていない」(大阪観光大学)
「万博ボランティアに対して単位認定するといった特別なものはない」(大阪教育大学)
「大きな事業なので学生がそういうところで活躍するのは望ましいので案内のチラシを置いたりホームページに掲載するなど広報はしてるが、単位認定は該当していない。科目にちょうど該当するというケースはあるのかもしれないが、どこの大学もやっていないのでは?」(関西外国語大学)
「ボランティアについては学生に一任しているので、大学として枠を設けて行かせることはなく、単位がもらえるということはない。今後、授業とどうしても重なってしまうなど学生から相談があった場合は、学内で協議をすることはあるかもしれないが、現時点ではボランティアは学生自身で申し込みをしている」(森ノ宮医療大学)
「大阪万博のボランティアをすることで単位認定をする予定はない。厳密には、一部のもともとある科目で一定の条件を満たした場合、万博のボランティアが単位認定される可能性はあるかもしれないが、万博は関係なくボランティアの募集も明記していない」(近畿大学)
「本学としては、万博のボランティアに行った場合に単位を与えるということはない。授業としてボランティアを取り入れている科目についてはわからないが、単位と互換ということは一般的にはない」(大阪大学)
取材した大学7校全てが万博ボランティアと引き換えの単位認定は「ない」と回答する結果となった。