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「これまで経験したことがない大雨でした。自宅は少し高い場所にあったので浸水することはありませんでしたが、すぐ裏は山の斜面になっているので、崩れてこないか不安で……25日の夜は一睡もできませんでした」

 

こう話すのは、山形県酒田市の大沢地区に住む池田幸子さん(70)だ。7月25日、山形県と秋田県を記録的な大雨が襲った。浸水被害を受けた住宅は、山形県で1千400棟以上、秋田県では260棟以上。犠牲者も出ており、8月5日時点では、警察官2人を含め両県で5人が亡くなっている。行方不明者もおり、10日以上たっても被害の全容が把握できていないという。

 

国民に寄り添おうと、常日ごろから心を砕かれている天皇陛下雅子さまも眠れない夜を過ごされていたと、宮内庁関係者は語る。

 

「25日は、深夜にも山形・秋田両県を中心に線状降水帯が発生していました。一向にやむ気配のない大雨に、天皇陛下と雅子さまは、夜通しで情報を集めて、心配されていたそうです。特に水の問題をライフワークとされる陛下は、激甚災害クラスの大きな被害が出たことにご心痛のご様子だったと聞いています」

 

前出の池田さんが住む山あいの大沢地区は、特に被害が大きい地域だった。今回の大雨で氾濫した川の一つである荒瀬川沿いに位置し、一時は橋が流され孤立状態になったほどだった。とくに、収穫を控えた農家の人々にとっては、先行きが見えない不安な状況だという。

 

「収穫まであと少しなのに稲が水に浸かり、大小さまざまな石が流入した田んぼが何枚もあります。こういう状況だと、もしお米が無事に育っても、コンバインを入れて収穫することが難しくなるそうです。“田んぼを作り直さないといけない”と、近所の農家の方々は途方に暮れています」(前出・池田さん)

 

恵みをもたらすはずの雨が濁流に姿を変えて牙をむき、暮らしを破壊されて、涙を流す東北の人々。雅子さまはこの窮状を受け、ひそかに決断を下されていた。

 

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