漫才日本一決定戦『M-1グランプリ2024』(ABCテレビ)が12月22日に開催される。過去最多1万330組がエントリーするなかで勝ち上がったファイナリストはもちろんだが、“改革”が行われた審査員の布陣にも注目が集まっている。
12月15日に今大会の審査員が発表され、昨年の7人体制から9人体制に増員。初登場はアンタッチャブルの柴田英嗣(49)、オードリーの若林正恭(46)、かまいたちの山内健司(43)の3人で、NON STYLEの石田明(44)と笑い飯の哲夫(49)がともに9年ぶりの復帰。海原やすよ・ともこの海原ともこ(52)は2年連続で選出され、“常連組”には博多華丸・大吉の博多大吉(53)、中川家の礼二(52)、ナイツの塙宣之(46)が名を連ねた。
初審査員の3人に注目が集まる中、ある関西の演芸作家は「我々、専門家が高く評価しているのは石田さんなんです」と断言して、さらに理由をこう語る。
「とにかく古い漫才から最新の漫才までよく知っています。漫才博士ぶりが世にしられるようになったきっかけは、2018年、ナインティナインの岡村隆史さん(54)のラジオ番組『オールナイトニッポン』に出演し、 M-1答え合わせ!というコーナーでM-1を解説したことです。
なぜ優勝したのか、なぜうけたのか、反対になぜすべってしまったのかなど、M-1の漫才を事細かに分析しリスナーから支持されました。番組内では“石田教授”や“プロフェッサー”と呼ばれています」
ラジオでのM-1解説の好評ぶりを聞きつけ、「ぜひ会いたい」と連絡してきたのが吉本の岡本昭彦社長(57)だったという。
「岡本社長は『NSCを変えてほしい』といって石田さんに依頼し、‘20年からNSCで講師として漫才を教えています。漫才の理論だけでなく、実際に舞台に立っている石田さんのアドバイスは、わかりやすくて説得力があると生徒から好評です」(吉本興業関係者)
前出・関西の演芸作家は、石田の特徴を「お笑いの考え方に柔軟性があること」と言い、さらにこう説明する。
「石田さんは“漫才にはいろんなやり方や考え方がある”という立場なのです。相方の井上裕介さん(44)が当て逃げ事故(のちに不起訴処分)を起こして、謹慎となり、漫才ができない時期がありました。その時、石田さんにいろんな漫才コンビから、漫才の台本を書いてほしいと依頼が殺到し、普段よりも忙しくなってしまったことがあったそうです。自分たち以外の漫才コンビに合わせた台本を書くということは、お笑いに対する知識と柔軟性がなければできません」
M-1での審査には石田の柔軟性が活きるようだ。
「石田さん自身、漫才の対する“好み”はあるのかもしれません。しかし審査員には個人的な“好み”ではなく、漫才師の力量をフラットな目線で見て、評価することが求められます。石田さんならフラットに評価することが可能なのではないでしょうか。
M-1では審査員の席順も注目されていますが、私は松本さんが座っていた右端の席に石田さんが座っても、まったく問題ないと思っています」(前出・演芸作家)
10月31日に刊行された石田の著書『答え合わせ』で、《僕はずっと、自分のことを「つまらない人間」やと思っていました。その思いは爆笑オンエアバトルでチャンピオンになったときも、2008年にM-1を優勝したときも変わることなく、芸歴が20年を超えた今でも持ち続けています。でも、だからこそ、「面白い漫才とはどういうものか」「どうすればもっとウケるのか」を追究してこれたんやと思っています》と綴っていた石田。
“つまらない人間”が、日本一の漫才師を決めるーー。