(撮影:三浦憲治) 画像を見る

「ラジオ番組でご一緒して1時間だけでしたが、お会いしたことがあるんです。田部井さんは明るく前向きでとっても素敵な方でした」

 

女性初のエベレスト登頂など数々の偉業を成し遂げた田部井淳子さんとその家族を描いた映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』で主人公を演じている吉永小百合(80)。今作が124本目の映画出演となる。

 

13年ぶりにタッグを組む阪本順治監督、夫役に佐藤浩市、盟友役はプライベートでも交流のある天海祐希、青年期を演じるのんなど、豪華俳優陣が脇を固める。

 

「佐藤さんは高所恐怖症らしいんですが、山登りのシーンのとき、すごくたくましく私を引っ張ってくれました。頼もしかったですね。のんさんは私の撮影現場を丸1日見学してくれたんです。そんなことなかなかできないこと。私ものんさんの撮影現場に行きたかったんですがスケジュールの都合でなかなか行けず、やっと撮影最終日に現場に行くことができたので、皆さんに『お疲れさまでした』って言えました」

 

天海祐希とは石田ゆり子と3人で集まることが多いという。

 

「天海さんの本名はゆりさん、ゆり子さん、みんな名前に『ゆり』が入るので3人で“リリーズ”っていうのを結成しています(笑)。ゆり子さんが天海さんを『兄貴』って呼んでいたので私も自然とそう呼んでいますが、現場の空気が緩んでいたりすると『もっとしっかりやりましょう!』と声を出して士気を上げてくださったり、面倒見がすごくいいので、やっぱり兄貴ですね(笑)」

 

今作では人生初の挑戦もしている。田部井さんがNYシティマラソンに参加したとき、友人がしているのを見て「いいな」と思い、すぐに五番街へ行ってピアスの穴を開けた、という話を聞き――。

 

「素敵だな、と思いましたが、そのときには勇気がなかったんです。でも田部井さんの役をやらせてもらう今なら、と私もピアスを開けてみました。監督は『本当にいいんですか?』と心配なさっていましたが、今ではお気に入りです」

 

撮影時もかわいいお花のピアスを着けていたが、ふだんはファーストピアスのみなのだそう。

 

「揺れるピアスは恥ずかしくて、イベントなどがあるとき以外、ふだんはなかなか着けられないんです。田部井さんの形見のピアスを頂いたので、それは大事なときに着けようと思っています」

 

映画のPRなどで忙しい時期だが、休日の過ごし方を聞くと、

 

「体を動かしています。そのほうが疲れが取れるし元気になれるんです。前は1年に365キロ泳いだり、2000年には2千mを続けて泳いだりしていましたが、今はプール15往復するぐらい。歩くことは大事だと思っているので、猛暑の間も少しずつ歩いていました」

 

といつまでもアクティブな吉永さん。昭和から平成、令和と時代ごとにヒロインを演じてきたが、そのヒロイン像の変化をどう感じているのだろうか。

 

「映画のヒロインだけではなく、女の人たちが前向きに生きようとしているのは強く感じられます。未来に向かって元気に生きていくことはとてもいいことだと思いますし、うれしいですね。その分、男性のほうがおとなしくなっているのかもしれませんが(笑)」

 

【INFORMATION】

映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』

10月31日(金)全国公開。女性で初めてエベレスト登頂に成功した登山家・田部井淳子さんとその家族を描いた物語。多部純子(吉永小百合)は献身的に支えてくれる夫・正明(佐藤浩市)と二人三脚で、長女・教恵(木村文乃)と長男・真太郎(若葉竜也)を育てながらもエベレストを目指した。華やかな功績の陰には家族との葛藤や、病との闘いも……。

 

ヘアメーク:森下千帆
スタイリング:宮本茉莉
衣装協力:ワンピース(baraka baracca)、ネックレス、ピアス、リング(すべてウエダジュエラー)

 

画像ページ >【撮り下ろし写真あり】124本目の映画で女性登山家を演じた吉永小百合(他2枚)

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