(撮影:吉澤健太) 画像を見る

すみっコぐらしの仲間たちが、新たなキャラクター「おうじ」と出会う物語『映画 すみっコぐらし 空の王国とふたりのコ』。その世界を温かく包み込むナレーションを担当した井ノ原快彦(49)は、「かわいさの中にある“優しさ”がすべて」と語る。

 

「単純に“かわいい”っていうことが、実はすごく大事だなと思うんです。すべてにおいてあったかいし、見るだけでふわっと気持ちがやわらぐ。忙しい東京の暮らしのなかで、そういう存在って本当に貴重ですよね」

 

ナレーションは控えめに、あくまで物語の一部として寄り添うように語ることを心がけたという。

 

「このコたちの世界だけで成立してるんですよ。だから僕はお邪魔してるくらいの気持ちで。抑揚もつけすぎず、監督に委ねながら“添える”ような感じにしました」

 

作中で印象的なのは、“ひとりで頑張ろうとするおうじ”の姿。そこに、自身の経験を重ねた。

 

「ひとりでやらなきゃって思うことは誰にでもあります。でも、結局はひとりじゃ何もできないんですよね。だから“委ねる”ことも大事だと思うし、人からお願いされたら応えよう、それでいいんじゃないかなと」

 

さらに、日々の人間関係のなかで「頑張りすぎない」ことの大切さも感じている。

 

「気を使うのはいいことだけど、やりすぎると、周りに、自分が気を使えてなかったかもと思わせてしまうこともあると思うんです。だから最近は『そこ抱えちゃって大丈夫?』って自分に聞くようにしてます」

 

自分を大切にすることが、人への優しさにつながる。その感覚は年齢を重ねてより強くなった。

 

「仕事ってつらくて当然、じゃなくて、楽しくできるものもあるし、結局は自分次第。だから、今日も楽しかったなって思えるように心がけてます。嫌だなと思うことは、もう無理してやらなくてもいい。それが人にも優しくなれる第一歩かなって」

 

そんな井ノ原が「居心地がいい」と語るのは、緑のある自宅での時間。

 

「都心にはあまり出てきたくないんですよね(笑)。自然の中にいると落ち着くし、蚊に刺されても“やっぱり自然がいいなあ”って思います(笑)。距離感って大事ですよね、人も場所も。ちょっと離れてみるのも悪くない」

 

趣味の話になると、少年のように目を輝かせる。

 

「相変わらずものを作るのが好きで、音楽や物語を創作しながら仲間と会話している時間が楽しいですね。最近は“来週遊ばない?”って友達と話して、釣りに行くこともあれば、日帰りでどこまで行けるかに挑戦して、石垣島も日帰りで行ったことありますよ(笑)。泊まらなくても十分楽しいんです」

 

最後に、これからの生き方を尋ねると、穏やかにほほ笑んだ。

 

「自分が楽しそうにしてるのが一番。そうすれば、周りも自然と笑顔になるんじゃないかなと思うんです」

 

【INFORMATION】

『映画 すみっコぐらし 空の王国とふたりのコ』

10月31日全国公開。すみっコの町に空の王国から〈おうじ〉と〈おつきのコ〉が落ちてきた。水不足に悩む王国を救うため、「みずのしんでん」を目指して、すみっコたちは雲の上の大冒険へ出発する。

 

スタイリング:前田勇弥
ヘアメーク:松本未央(GON.)

 

画像ページ >【撮り下ろし写真あり】映画版すみっコぐらしでナレーションを担当した井ノ原快彦(他2枚)

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