8月3日、時事ドットコムは《原爆の悲惨さ、展示法模索 「子どもが見ない選択」導入へー被爆者ら反発も・広島資料館》と題した記事を配信。広島市の広島平和記念資料館(原爆資料館)に2028年度に子ども向けエリアが新設され、凄惨な絵や写真について、見学するかどうかどうかを子ども自身が判断する「選択展示」も実施される、などと報じた。
社会部記者が言う。
「原爆資料館の入館者数は、2024年度に226.5万人、うち外国人72.8万人といずれも過去最多となり、近年大幅に入館者数が増加。館内の混雑化が課題となっています。
そうしたなか、修学旅行で同館を訪れる学校から『館内の混雑により、子どもたちがゆっくり見学し、学習することが難しくなっている』等の声が多くあがったことから、本館ではなく、東館の地下1階に主に修学旅行生を対象とした子どもエリアの新設を計画。2025年度から『東館地下1階平和学習展示検討会議』を開き、展示内容や手法を有識者による会議を続けています。新設する子どもエリアは、小学生、中学生と当時同年代だった子どもたちの被害に焦点をあてる展示構成になるようです」
この報道に対しては、X上に《大人になってから見せればいいじゃん 子供の時のトラウマって中々消えないからやめたほうがいい》といった賛同の声のほか、“選択展示”に異を唱える《日本は世界で唯一の被爆国。原爆がどれほど非人道的であったか、その凄惨さを全員が見なければいけないと思う》といった声など、賛否が分かれている。
具体的に“選択展示”とはどのようなものなのか、原爆資料館の担当者に聞くとこのような答えがあった。
「これまでと同様に悲惨な写真や絵は展示するのですが、子どもたちが見るかどうかを個人で選択できるコーナーを設置するということになります。早ければ2028年度から導入する予定です。当館を運営する広島平和文化センターがおこなった学校へのアンケート調査で、凄惨な資料を子どもたちに見せるときにどういう方法がいいのかなどの声があったことも選択展示導入のきっかけです。ここでいう子どもというのは、小学5年生の11歳から中学生3年生の15歳までが対象です。
今、資料館は大変混雑しており、修学旅行生が団体で来られたときにゆっくりと展示を見ることができないということで、別の場所、東館地下1階で平和学習展示をしようということで会議を続けています。この混雑解消のために主に修学旅行生のための展示施設を新たに設置するということです。
展示内容については、ベースは今までと同じです。選択展示を行うのは、広い展示スペースのなかの一角だけです。具体的な展示資料はこれから決めていくところです。選択展示の部分は、火傷を負った方などの悲惨な写真や絵が展示されることになると思います。現在も原爆の被害を伝える凄惨な写真などが展示されているコーナーの手前には、『凄惨な資料が展示されています』といった注意書きを示しており、引率の先生や保護者の方にそういうサインを出しています」
SNS上で「全員が見るべき」という声が多くあがっていることについてはこう話す。
「選択展示の展示物の構成や具体的な展示物については、現在検討中ですが、凄惨な展示物を見せなくしようというスタンスではありません。けっして原爆の悲惨さを弱めるということではありません。選択展示コーナーの前には《この先には傷つき、苦しむ人の写真や絵を展示しています。不安を感じる人は先生やボランティアスタッフに相談してみましょう。もし見学後に辛いと感じたら、展示室の外で休憩しましょう》と張り出す予定です。本館のほうには《凄惨な資料が展示してあります》と注意書きを表示していますから、今も見ないという選択はできるようになっています。資料館としては、選択展示を今後導入しても、原爆の恐ろしさは伝えていきます」(同前)
被爆の真実をいかに次代に継承していくか。その試みは絶えず変化しながら続けられていくだろう。
画像ページ >【写真あり】原爆投下から81年…平和記念式典に出席した高市早苗首相(他1枚)
