「うちの母は、お彼岸の9月23日生まれで、今生きていたら101歳。92歳で亡くなり、もう9年ですが、あっという間でした。お墓は建てたのですが、実は、遺骨を今もそばに置いているんです」
川中美幸さん(70)は、“一卵性母娘”と呼ばれるほど仲のよかった母、久子さんを、4年間の介護の末2017年に、天国に見送った。
父の建てた墓が奈良県にあったが、母の遺言により東京へと改葬するため、墓じまいを行った。
「1987年に亡くなった父は、その前年『安心して眠れる場所ができた』と、自分の気に入ったお墓を建て、仏壇も準備して亡くなりました」
そこから30年近く、年に一度は、母と娘で墓参を欠かさなかったが。
「『奈良まで行くのは大変やから、家の近くにいいところあったら探したい。(愛犬の)ミルクも一緒に入れるお墓がいい』が、母の遺言でした。毎日でもお参りに行けるところで、犬も一緒に入れる霊園を探していて、2021年に、兄が見つけてくれたんです。
それで奈良のお墓を、東京へ改葬して、新たにお墓を建てました。樹木葬や納骨堂などもありますが、私はやはり墓石のあるお墓がいいなと思ったんです。
私は子どもがいませんから、誰がお墓を守ってくれるのかなど考えていると前に進みません。とりあえず、私が元気なうちは、お参りできますからね」
デザインも川中さんが担い、母の久の字を、「永久にみんな一緒」と、思いを込めて墓石に彫った。
「お墓の手前には桜や、四季折々の花が咲き、墓石の向こう側には、富士山が見えるんです。きっと母も『あんた、ええところ見つかったな~』と言ってくれそうです」
だが、誰よりも絆の強かった母娘。お墓に入ると「離れてしまう気がする」と、喪失の悲しみから、納骨の踏ん切りがつかなかった。
「お寺のご住職から、『いつまでにお墓に入れなければいけないという決まりはないので、美幸さんの気持ちが落ち着くまで、お母さまにご自宅にいてもらえばいいのではないですか』と、言葉をもらったんです。その言葉に甘えて、今も自宅の、父が準備した仏壇の隣に祭壇を設けて、そこに母、父、ミルクの遺骨がならんでいます」
ファンの方から季節の花もお供えもされて、仏壇の前がとってもにぎやかだと笑う。
「最近は、父にも『お父さんがいてくれたから、私がいるよ』と声をかけています(笑)」
川中さんのように、納骨せずに、自宅で供養する手元供養も、近年増えている。
「私は、来年デビュー50周年を迎えるので、大きな人生の区切りのいいところで、母と父とミルクの納骨をしようかなという考えはあります。もしくは私が(お墓に)入るときに、みんな一緒に入れてもらおうかなとも思ったり(笑)。
まずは、お彼岸に、母の大好きだったみたらし団子をお供えしようと思います」
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