民間企業での相次ぐ個人情報流出事件が取り沙汰されるなか、古川俊治デジタル大臣(63)の発言が大きな波紋を広げている。
近年、国内の企業や組織を狙った悪質なサイバー攻撃が頻発しており、多数のユーザーの個人情報が第三者に漏洩する事案が後を絶たない。特に直近では、私たちの生活に密着したサービスで数百万から数千万件規模という前代未聞の流出事件が立て続けに発覚している。
「9月25日に、カーシェアリングサービス『タイムズカー』において外部からの不正アクセスがあり、最大で約660万件の個人情報が流出した可能性が発表された。この中には、氏名や連絡先だけでなく、退会者も含めた運転免許証の画像といった情報が含まれており、社会に大きな衝撃を与えることに。
さらにその直後の10月5日には、人気焼肉チェーン『焼肉きんぐ』が、公式アプリの会員管理システムへの不正アクセスを公表。これにより、なんと約1079万件ものアプリ会員の個人情報が漏洩したことが判明しました。サイバー攻撃による個人情報流出は、今年に入って500件を超え、現時点ですでに過去2年に並ぶ規模となっています」(全国紙社会部記者)
こうした極めて深刻な状況下で行われた6日の記者会見で、古川デジタル大臣は一連の情報漏洩問題に言及。「サイバー攻撃は、もはや企業や組織だけの問題ではない。国民一人一人の対策が被害の防止につながる」と指摘した上で、「自分の情報は自分で守るという意識を持って、被害防止に向けた取り組みに協力してほしい」と国民に自己防御を呼び掛けた。
国民のセキュリティに対する当事者意識を高める意図があったとみられるが、この発言に対してXなどのSNS上ではツッコミの声が相次いでいる。
《提供先の企業への不正アクセスによって漏洩しているのに、個人でどうやって対策しろというのか》 《どこかに登録した情報が漏れても自己責任? サービスを利用した国民が悪いってこと?」》《個人に防御を丸投げするなら、そもそもデジタル庁なんて必要なくないか》《他力本願すぎる》
さらに、古川デジタル大臣の発言は、今年7月に発足したばかりの「国家情報局」にも飛び火している。今回の“自己防衛”の呼びかけに対し、ネットユーザーからは《国家情報局は今、一体何をしているのか》《こんなんでよくインテリジェンス機能だの国家情報局だのと偉そうなことが言えるね》と、政府の情報セキュリティ体制を疑問視する声が出ている。
「古川大臣は個々人の努力で多くのサイバー被害は防げるという提言で、それ自体としては真っ当な発信だと思います。しかし本来、デジタル庁は日本の安全・安心なデジタル基盤の実現に向けて、国のサイバーセキュリティ対策を牽引する役割を担った機関。“では一体デジタル庁は何をやっているのか?”と疑問を抱く人が少なくなかったのでしょう。
また国家情報局は、サイバー空間を含む国家の安全保障に関わる情報収集・分析などのインテリジェンス機能の強化を目的として創設されたはずでした。しかし、同局をめぐっては国家による国民監視やプライバシー侵害、情報の政治的利用が懸念されています。古川氏の発言は、結果的に国民の情報を取り扱う政府への信頼感を損ねることになってしまったようです」(前出・全国紙社会部記者)
