入場料の値上げで文化・芸術に触れる機会が減るかもしれない(写真:cba/PIXTA) 画像を見る

国立美術館6施設の入館料が値上げされることになり、運営費の上昇にどう対応するかだけでなく、誰もが気軽に文化に触れられる環境をどう守るかも問われている。

 

元吉本興業のお笑い芸人で、日本で唯一のアートテラーとして活動しているアートテラー・とに~さん(43)に話を聞いた。

 

■国立美術館6施設、入館料を最大3倍に

 

独立行政法人国立美術館(以下、国立美術館)は、国立西洋美術館や国立工芸館など6施設で、所蔵作品展(常設展)などの入館料を2026年10月以降、順次引き上げると発表した。料金は現在のおおむね2~3倍になる。最初に新料金を導入する京都国立近代美術館は10月24日から、国立西洋美術館は2027年3月20日からとなる。

 

とに~さんがこう語る。

 

「最初のニュースで『2倍から3倍』と聞いたときは驚きました。ただ、国立西洋美術館の場合、一般が500円から1000円になるという話。実質的には適正価格に近づいたのではないかと受け止めている人が多いようです」(とに~さん、以下同)

 

物価やエネルギー価格の高騰により、作品の輸送費や人件費などの経費が増加している。こうした背景を踏まえれば、美術ファンの間にも、値上げはやむを得ないと受け止める向きがあるようだ。

 

ただ、とに~さんには気がかりな点もあるという。

 

「18歳未満と65歳以上の無料措置が維持されているのは評価できます。ただ、大学生など若い世代への料金を据え置くことはできなかったのかという疑問が少し残ります。美術館に来てもらえなければ、その先の文化への関心は始まりません」

 

若い世代に限らず、所得が低い人や家計に余裕のない世帯にとっても入館料の引き上げは美術館から足が遠のくきっかけになりかねない。

 

今回、文化庁は国立美術館に対し、運営費を入館料などの自己収入の拡大で運営費を賄う目標を課しているとされる。

 

「文化庁が美術館に目標数値を課すのはいいとしても、美術館へ人を来させるための施策や、施設を魅力的にする国全体の取り組みが十分に見えません」

 

国全体の取り組みが問われる一方、美術館も、もっと気軽に足を運んでもらおうと工夫を重ねている。東京国立博物館は2025年4月、それまでの「総合文化展(平常展)」を「東博コレクション展」へ改称した。

 

「『常設展』や『平常展』という言葉には、『いつでも見られるから今は行かなくていい』という後回しの感覚を生む側面があります。名称を変え、展示を工夫するだけでも来館のきっかけになり得るのです」

 

■「強く豊かに」の中で文化をどう位置づけるか

 

とに~さんは、美術館の役割についてこう話す。

 

「美術鑑賞には、文化財を守り、文化を知る役割があります。それに加え、作品を見て『これは何か』『なぜすごいのか』と考える行為そのものに価値があるのです」

 

美術館を身近な場所にたとえながら、さらにこう続ける。

 

「体を鍛える場としてジムがあるなら、想像力を鍛える場は美術館や博物館です。相手を思いやる想像力は、社会に必要な力です」

 

一方、高市早苗首相(65)は「日本列島を、強く豊かに」と繰り返し訴えている。政府は経済成長や外交・安全保障、危機管理などを政策の柱に掲げるが、文化政策への支援がその理念の中でどのように位置づけられるのかは、はっきり見えてこない。

 

Xでは、さまざまな意見が交わされている。

 

《美術って余裕がある人の趣味じゃなくて、もっと気軽に触れられるものであってほしいな》
《日本を豊かにってどこぞの総理言ってなかった?180度真逆に進んでんじゃん》
《 一方、内閣の広報費が約10倍の72億、政府広報費が350億だっけ? 凄い使いたい放題で羨ましいですね 》

 

国の強さを経済力や防衛力だけではかるのは、あまりにも独創性に欠けている。国立美術館の入館料の値上げは、文化によって育まれる心の豊かさを考えるきっかけになりそうだ。

 

画像ページ >【写真あり】10月24日の京都国立近代美術館の値上げから随時値上げがはじまる(他2枚)

出典元:

WEB女性自身

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