芦田愛菜(本誌写真部) 画像を見る

世界的メガヒットを記録した韓国ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』。その日本版リメイクとして鳴り物入りで10月19日にスタートしたのが、芦田愛菜(22)主演の連続ドラマ『南田南弁護士は天才肌』(フジテレビ系)だ。

 

自閉スペクトラム症である新人弁護士が、社会という大海原へ乗り出し、壁にぶつかりながらも独自の視点やひらめきで幾多の難事件を解決し、ひとりの人間として成長していくハートフル法廷ドラマ。

 

放送前は、本家の熱狂的ファンから「あの名作を日本の連ドラの尺とクオリティで再現できるのか」と厳しい目も向けられていた本作。しかし第1話が放送されると、SNSで芦田の繊細な演技や、日本版ならではの丁寧な作りにSNSで絶賛の声が相次いだ。

 

《“愛菜ちゃん“ではなく、“俳優 芦田愛菜“の代表作》
《芦田愛菜って、演技始めると芦田愛菜じゃなくなってしまうの凄いなぁ》

 

子役時代から第一線を走り続け、来春、名門大学を卒業予定の芦田にとって、大人の俳優としての真価が問われる本作。彼女はなぜ、あえて比較されることが避けられない「高すぎるハードル」と「キャリア最大のリスク」に挑んだのか。

 

数々のドラマ批評を手がけ、韓国ドラマにも精通するドラマ評論家の田幸和歌子氏に、第1話から見えてきた「本家との違い」や「日本のテレビドラマの制作スタンス」、そして脇を固めるキャスト陣の魅力までを解説してもらった。

 

■芦田愛菜とパク・ウンビン、アプローチの決定的な違い

 

「韓国ドラマのリメイクは叩かれがちですが、第1話を見た限り、作り手も演者も本家を深くリスペクトし、非常に丁寧に作っていることが伝わってきました」と田幸氏は語る。その上で、芦田愛菜と本家で主演を務めたパク・ウンビンの「表現の違い」をこう分析する。

 

「芦田さんは実際に当事者の方の元へ足を運んで勉強されたそうで、視線や手の動かし方など、本家を彷彿とさせる部分も多く、非常に研究熱心であることがうかがえます。ただ、本家のパク・ウンビンさんとは決定的に違う部分があります。それは『表情の豊かさ』と『圧倒的な滑舌の良さ』です」

 

パク・ウンビンはウ・ヨンウを演じる際、オファーを一度固辞し、1年という歳月をかけて役作りに臨んだという。

 

「ウンビンさんは、顔の表情の起伏をほとんど出さず、指先のわずかな動きなどで『嬉しそう』『不快そう』といった感情の機微を見事に表現しました。視聴者はそのかすかなサインを画面の隅々から読み取り、彼女を応援したくなるという楽しみ方があったのです。 一方、芦田さんはもともと表情筋が柔らかく、感情表現がダイレクトに伝わってくる俳優です。さらに彼女の最大の武器である『抜群の滑舌の良さ』があるため、法廷シーンなどでは本家との違いが際立つリーガルドラマに仕上がっています」(田幸氏・以下同)

 

■「分かりやすさ」に振った日本の制作スタンスの正解

 

この違いは、単なる演技の優劣ではなく、日韓の「テレビドラマの構造的な違い」から来ているという。

 

「日本の民放ドラマは、感情をセリフで説明したり、役者のアップで分かりやすく感情を提示しないと視聴者がついてこない、という作り手側のセオリーがあります。静かな画面から情報を読み解かせる本家に比べ、日本版は芦田さんの豊かな表情を通して『今、苦しそう』『今、楽しそう』という感情がストレートに伝わってきます。

 

これは決して悪いことではありません。芦田愛菜さんという圧倒的な好感度と信頼感を持つ俳優が、分かりやすく感情を表現してくれるからこそ、視聴者は一体となって『頑張れ!』と応援できる。ある種、日本の連ドラ視聴者に最も届きやすい形に翻訳された作り方だと言えます」

 

また、細かなローカライズも光っている。本家の回転扉が日本版ではエスカレーターに変更されたり、主人公が愛食する具沢山のキンパ(韓国海苔巻き)が「塩おにぎり」に変更されたりといった工夫が見られた。

 

「塩おにぎりだけでは、と栄養面を心配したのか、くじらの型の卵焼きが添えられていたり、父親の細かな愛情が伝わる演出になっています」と田幸氏。

 

■高橋文哉の「恐るべき役作り」と脇を固めるキャストの重圧

 

そして、本家ファンをも驚かせたのが、主人公の最大の理解者であり恋の相手となる同僚を演じる高橋文哉(25)だ。

 

「放送前は『高橋文哉では若くて子供っぽすぎるのでは?』という声もありましたが、ビジュアルが解禁されると『本家にそっくり!』とどよめきが起きました。高橋さんはこれまでも、女装役の際は極限まで体を絞り、別の役ではふっくらさせるなど、骨格から見た目を作り込むことに長けた役者です。今回も、本家のカン・テオ(32)さんが演じたイ・ジュノの持つ『器』を肉体から見事に作り上げてきました。

 

これまでZ世代の代表格だった彼ですが、今回『理想的な王子様』とも言える役柄を通じて、連ドラのメイン視聴者層である大人の女性ファンを一気に獲得し、役者としてさらに一つ上のステージへ上がるでしょう」

 

脇役陣へのプレッシャーも尋常ではない。本家は主人公以外のサブキャラクター全員が愛されるという奇跡的な群像劇だったからだ。

 

「父親役の東京03・角田晃広(52)さんは、いい意味で少し抜けた温かい父親を好演しています。また、本家では非常に人気の高い上司役(カン・ギヨン・43)に当たるポジションを山口馬木也さん(53)が演じていますが、ビジュアルのイメージは全く違うので、『え?だれ?!』と。ですが話が進むうちにお茶目でダンディーな良い上司に仕上がっていることがわかります。 そして何よりプレッシャーが大きいのは、本家で『春の日差し』と呼ばれ絶大な人気を誇った同僚の女性弁護士役を演じる久保史緒里(25)さんでしょう。彼女と主人公の関係性がどう描かれるかは、今後の大きな見どころです」

 

■キャリア最大のリスクをとってでも「南田南」を演じる意味

 

圧倒的な知名度と好感度を持ち、「失敗」が許されないポジションにいる芦田。あえて比較されるリメイク作品、「違和感あり」といった声が高まるリスクも隣り合わせであり、かつ難しい役に挑むリスクは決して小さくないはずだ。なぜ彼女はこのタイミングで本作の主演を引き受けたのか。

 

「芦田さんは今年末のNHK紅白歌合戦の司会にも決まっています。NHKとしては、この紅白司会を足掛かりに、ゆくゆくは『朝ドラ(連続テレビ小説)のヒロイン』を任せたいという思惑があるはずです。大学を卒業し、子役からの完全な脱皮を図るこの重要な時期に、『南田南』という難役を担い、さらに高橋文哉さんとラブストーリーの入り口のような演技を披露することは、大人の女優へと成熟していくための絶対に必要なステップなのだと思います」

 

さらに、本作が持つ「社会へのリーチ力」も、芦田だからこそ成し得るものだ。

 

「本家『ウ・ヨンウ』は、北朝鮮問題をはじめとする韓国のリアルな社会問題を鋭く描いていました。日本版でもおそらく、排外主義など現代の日本の社会問題が絡んでくるはずです。社会問題に関心が薄い層であっても、『芦田愛菜ちゃんが演じるドラマ』であれば見てくれる。地上波の連ドラという間口の広さを生かし、今まで届かなかった層に社会的なメッセージを届けるという意味でも、彼女が主演を務める意義は非常に大きいのです」

 

高すぎる壁を前にしても、持ち前の知性と努力で軽やかに飛び越えていくのか。俳優・芦田の「大人の表現者」としての覚悟が詰まった本作、最後までしっかりと見届けたい。

画像ページ >【写真あり】大人っぽく激変した20歳の芦田愛菜(他4枚)

出典元:

WEB女性自身

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