ネットサービス大手「GMOインターネットグループ」が提供する「お名前.com デスクトップクラウド」がサイバー攻撃を受け、顧客と見られる個人情報が漏洩するなどした問題。11月2日、同社の熊谷正寿代表(63)が記者会見を行ったのだが、その際の振る舞いがSNSで大きな注目を集めている。
一連の問題をめぐっては、10月21日に「お名前.com」に不正アクセスが発生し、攻撃者がGMOに約80億円の身代金を要求。同社が支払いを拒むと、27日に攻撃者のサイト上でサービス利用者と見られる個人情報が公開された。GMOは最大1億5000万円の懸賞金をかけ、犯人に関する情報提供を呼びかけていた。また、不正アクセスめぐっては、2年前にGMOの子会社がシステムの脆弱性を指摘していたことも明らかになっている。
サービス利用者の不安が募る中、火に油を注いだのが、熊谷氏個人のSNSだった。
「熊谷氏は不正アクセスがあった直後から、自身のXで積極的に情報を発信。Xでは《犯人を絶対に許しません》などと表明しつつ、27、28日の投稿では、笑顔の自撮り写真を公開していたんです。このような投稿に対して、多くのユーザーから“顧客は笑顔ではない”“無神経だ”など批判殺到する事態に。そのほか、熊谷氏は、攻撃者のHPで公開されたサービス利用者と見られる個人情報をめぐって、特定に繋がりかねないX上の投稿に対して《削除されないと刑事告訴いたします》と呼びかけていたにもかかわらず、自身の投稿では、利用者と見られる人物の家族構成を書き込んでしまうなど、言行不一致も指摘されていました」(WEBメディア記者)
そんななか行われた会見冒頭、熊谷氏は「被害に遭われたお客様と関係者の皆様に心よりお詫び申し上げます」と謝罪し、「本サービスのシステムにセキュリティ上の問題があったことは事実です。報道されている通り、当グループのGMOサイバーセキュリティの専門家から、システム上の課題を指摘されていたことも事実です。しかしながら、この指摘をサービスの運営に生かすことができませんでした」と述べた。
その上で、「私自身のSNSでの発信についても多くの声を頂戴しております。被害に遭われた方に関わる事柄に私自身の投稿で触れてしまったこと、このような状況で笑顔で写っている写真を投稿したこと」などと言及し、これも謝罪。続けて、以下のように声を張り上げた。
「この度は、お客様をお守りすることができず!誠に申し訳ありませんでした!」
今回の会見は、問題の経緯やGMOの対応、問題を受けてGMOが得た知見、質疑応答の3部構成。そのなかでSNSを騒然とさせているのが、第2部での熊谷氏による“涙”だ。熊谷氏は、目に涙をためながら、一言一言を絞り出すように、こんな思いを述べたのだ。
「GMOイズムという社是、社訓がございます。その中で、全ての目標はお客様の笑顔であり、その笑顔を見て、私たちは誇りを持ち、その笑顔の循環で、目的ではなく、結果としての利益で株主様も笑顔になると、31年間ずっと言い続けてきました」
「23年前から、私は自分が作ってきたインターネットが、多くの方の笑顔に資する、安心で安全なインターネットになってもらいたいと、心の底から思っておりまして……。事業として1度も儲かる、儲けるという言葉を使ったことがない。お客様のために、情報を守れと、言い続けてまいりました」
約30分に及んだ第2部の熱弁。最後は涙も消え、熊谷氏は「31年間。つまり人生の半分をこのインターネットに捧げ、このインターネットを人々の、日本の、世界の宝物として、綺麗にしてから、死んでいきたいと思います。こんな犯罪者のツールなっているインターネットのまま、この業界から撤退し、後は任せたなんて言えません!僕はこの産業を、多くの方の笑顔のツールにしてから死ぬつもりです。以上です」と締めくくった。
一体なぜ、理念を語ることに多くの時間を費やしたのか。第3部の質疑応答に移り、貴社がそのように尋ねると、熊谷氏は独特のワードを用いながら、こう返答した。
「1日は1440分ですけど、寝ている時間を7.5時間と計算すれば、なんと1日990分しかありません。990分のカウントダウン。“命の砂時計”を何に捧げているのかが人生であり、私はインターネットとこのグループに捧げています。私の命の砂時計がどこに向かっているのかをご理解いただくために、第2部を安心、安全なインターネットを本気で思っていて、AIの登場によってそういう状況ではないと。気付いていない方もおられるので、AIがもたらしている世界を築いていきたいという話です」
そのほか、別の記者から、2年前に子会社から指摘されたサービスの脆弱性が具体的にどのような内容だったのか問われ、熊谷氏が、「願わくば、人数が多いので、同じ回答を2度すると皆様のお命の砂時計を無駄遣いしますので、大変恐縮なのですが、なるべく違う質問でいただけたらよろしいかと思います」と応じる場面もあった。
謝罪や説明のためであったはずが、熊谷氏の涙や理念の熱弁、“命の砂時計”などの言い回しが目立った今回の会見。Xでは、一連の場面を切り抜いた動画が拡散され、“劇場型会見”に対してユーザーから以下のようなツッコミが殺到していた。
《ヤバい、GMOの会見、熊谷社長が野々村議員みたいになってきてめっちゃおもろい。なんやこれ。我々は何を見せられているんだ…!?!?》
《泣きたいのは情報漏洩されたお客さまでは?》
《謝罪会見とは名ばかりでポエムを語っては涙を滲ませ自分に酔いしれてる。記者の問には的外れな回答に、噛み噛み。途中でこれ謝罪会見だったんだと思う程セミナー状態。謎の命の砂時計》
画像ページ >【写真あり】「何を見せられているんだ」ツッコミ殺到したGMO熊谷代表の“涙”の熱弁(他1枚)
