会見で大声で謝罪する熊谷代表(写真:共同通信) 画像を見る

11月2日に「GMOインターネットグループ」が行った記者会見での、熊谷正寿代表(63)のふるまいが波紋を広げている。

 

10月21日に同社のサービス「お名前.com デスクトップクラウド」が不正アクセスを受け、顧客情報が流出し、利用者の資産にも被害が発生した問題。会見では、2年前にグループ会社のセキュリティ専門家からシステムの脆弱性を指摘されていたにもかかわらず、運営に生かせなかったことを認めた。

 

しかし、約3時間半に及んだ会見では、熊谷氏が大声で謝罪し、涙ながらに経営理念を語る一方、説明に立った社員に「ちゃんとボタン閉めてください」と服装の乱れを注意したりする場面もあった。さらに「命の砂時計」という独特の表現を繰り返すなど、その言動に注目が集まり、SNSでは“劇場型会見”と批判の嵐となった。

 

騒動を説明し、謝罪する場でありながら、却って批判を招いてしまった今回の会見。「謝罪のプロ」はどう見たのか。危機管理コミュニケーション専門家の増沢隆太氏に話を聞くと、かなり手厳しい評価のようだ。

 

「謝罪会見の目的は、事態を鎮静化させ、企業への信頼を回復することです。しかし、今回の会見を見て『GMOなら信頼できるから、もう少し待ってみよう』と思う人はまずいないでしょう。むしろ『こんな代表で大丈夫なのか』という不安をかき立てることしかできず、被害者や利用者を安心させることもできなかったと思います。

 

今回、本来抑えるべきだったのは、不正アクセスによる情報流出をめぐる、GMOグループのセキュリティ対応への批判です。しかし、会見によってそうした批判が収まったとは到底思えません。今、世界的にも問題となっている不正アクセスへの対応について、何ら安心材料を示せなかった。点数をつけることもできないほど、謝罪会見として機能していませんでした。会社が置かれた危機的状況に対して、何の役にも立たなかったと思います」

 

増沢氏が問題視するのは、熊谷氏の言動だけではない。会見を通じて、GMOの組織体質そのものに疑問を抱かせてしまったことだという。GMOインターネットグループでは、上下関係を感じさせる「子会社」という言葉を禁止し「グループ会社」と呼ぶなど、独自のルールを設けているというがーー。

 

「熊谷さんは三菱や住友のようなコングロマリットになりたいと話していましたが、あれだけの規模でありながら、結局は創業オーナーであるトップがすべてを仕切っている会社だということが可視化されたと思います。社員の服装や話し方、話す内容にまで口を出し、さらには司会進行まで取り上げて自分でやってしまうくらい、何から何まで自分が前に出て指示を出し、周囲はそれに従うという構図に見えました。

 

熊谷さんは社員を『パートナー』と呼び、上下関係はないと説明していましたが、あの会見で見えたのは、熊谷さん以外は全員”部下”という実態です。本人は否定していましたが、あの会見で印象づけたのは、まさに“熊谷ファースト”の会社だということです」

 

また、増沢氏は、熊谷氏が会見で繰り返した「お客様の笑顔のため」という言葉や、ガバナンスについての説明にも疑問を呈する。

 

「巨万の富を築いた方が『お客様の笑顔が目的です』と言っても、私にはまったく説得力がありません。もうけること自体は悪いことではないのに、あえて『もうける』という言葉を使わず、きれいごとを並べているように感じました。

 

ガバナンスについても同じです。代表に直接意見を届けられる目安箱があると説明していましたが、そもそも誰も代表に意見できないのではないでしょうか。あの場で社員が公然と叱責される姿を見せられたら、怖くて使えるはずがありません。

 

『何でも言っていい、私は怒らない』と言われても、実際に叱られる姿を見れば、誰も意見など言えないでしょう。目安箱も含め、ガバナンスが機能していないことが明らかになったと思います」

 

では、評価できる点はあったのか。

 

「正直、ありません。もちろん、熊谷さんには強いリーダーシップがあり、ポジティブに捉えれば、そのリーダーシップこそが会社をここまで大きくしてきたことは間違いないでしょう。ワンマン経営そのものが悪いわけではありません。ただ、謝罪会見では、そのリーダーシップが完全に裏目に出てしまったように思います」

 

本来、今回の不正アクセスでGMOは大きな被害を受けた側だ。増沢氏は、会見ではその立場を世間に理解してもらうことが重要だったと指摘する。

 

「本来なら『ひどい目に遭って気の毒に』『大きな会社なのだから、しっかり対処してほしい』と思ってもらえたはずです。ところが、熊谷さんは犯人への怒りをあらわにするなど、感情が前面に出てしまった。あれだけの規模の企業のトップであれば、内心では怒りがあったとしても、それを表に出さず、冷静に説明するべきでした。本人が目指すという三菱や住友のような企業グループなら、そうした対応をするのではないでしょうか。

 

しかし、今回の会見では、あまりにも異様な会社の実態が明らかになってしまった。結果として、あれを見て信頼を寄せた人はほとんどいないと思います。そこが最大の問題点です」

 

そして、増沢氏が一連の会見から感じ取ったのは、やはり「誰も代表を止められない」という組織の姿だった。熊谷氏は今回の不正アクセスについて自身のSNSでも報告していたが、その投稿に笑顔の自撮り写真を添えていたことにも批判が集まっていた。

 

「あれだけの規模の上場企業グループなら、本来、代表個人のSNS発信であっても、広報やコンプライアンス部門などが内容を確認するプロセスがあっていい。ところが、熊谷さんの投稿は本人が直接発信しているように見えます。笑顔の自撮り写真も含め、どういう印象を与えるかを誰もコントロールできていない。ダメージコントロールがまったくできていないのです。

 

周りは誰も止めないどころか、熊谷さんを信奉するイエスマンばかりなのではないかと思います。子会社の社長や幹部に対する強い叱責なども含め、本当に、悪い意味で一貫性のある会見だったと思います」

 

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出典元:

WEB女性自身

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