——ダイチのまっすぐな部分は頼もしいところですよね。

榎戸 そういう部分にも、アカリはすごく好感を持ったのだと思います。ライブラスターを撃って、宇宙で戦ったりする一方で、友達のことをすごく心配したりする。
そういう無茶苦茶なダイチたちに出会えたことが、きっとアカリは嬉しかった。だから、落ち込んでいるダイチを見て、素直に「元気づけたい」と思って、思わず『元気になる魔法』を炸裂させてしまった(笑)。
第2話で、アカリがダイチに「君、いい感じに面白いね」って言っているのは、たぶん本音だと思うんですよね。

——そういう4人の横のつながりを描く一方で、『キャプテン・アース』には縦のつながり——親子関係がいくつも登場しますよね。ダイチと彼の亡くなった父であるタイヨウもそうですし、テッペイと彼の遺伝子上の父親であるエイジもそう。そこはやはり意識的に描かれているんでしょうか。

榎戸 そうですね、わりと意識的にやっています。ただ親子関係はむしろ、ダイチたちと遊星歯車装置の対比をわかりやすくするために使っているところが大きいかもしれませんね。特に、テッペイの場合がそう。
第5話で、テッペイはエイジと出会ったことによって、自分のことを愛してくれている父親の存在を知る。一方、第6話の冒頭で久部がアマラとモコに対して「僕は君たちの親代わりだからね」という。でもそれは、すごく嘘っぽいわけです。いかにも彼らを利用しようと思っている大人の言葉に聞こえる。そういう構図になってるんですね。
五十嵐 僕たちから見ると、アマラやモコたちが生きている何万年、何億年という時間は、想像を絶していると思うんです。彼らにとってみれば「親」という概念は、ほとんど存在していないに等しい。
でも、一方で僕たち人間は、親から情報を引き継いで、次の世代に受け渡していく。語り継がれていく命みたいなものと、永遠に生きられるということの対比というか。そういう「差」の象徴として、親子関係が作品に反映するといいなと思ってるんですよね。

——なるほど。

五十嵐 あともうひとつ、西久保がテッペイとエイジを会わせようと思ったのは、たぶん直観なんですよ。親と子の間でキャッチボールをするというか、キャッチボールができなかったことを伝えたことで、何か変化が生まれるんじゃないか。たぶん、西久保はそういう直観を働かせたんじゃないかと思うんです。

——では最後に一挙配信を前に、おふたりから第6話までの注目のポイント、見どころをお願いいたします。

榎戸 第6話のラストでは、地球が置かれている状況、危機がはっきりと明示されます。第6話まで一気に観ていただければ、各キャラの相関関係も俯瞰して見ることができます。
第6話ではこれまでずっと伏せられていたハナの謎も明らかになりますし、4人の出会いと絆が結ばれていく過程を楽しみつつ、これから先の展開も期待していただけるんじゃないでしょうか。
五十嵐 なんだかんだといって第6話までは、ダイチたちはまだバラバラの状態なんですよ。おのおのは高いスキルを持っているし、お互いに近づこうという意思もあるんだけど、まだどこか凸凹したところがある。
それがだんだんと寄り添っていくようになって、第7話で一度、ガチャッとハマる。もちろんそこから先、ミッドサマーズナイツを取り囲む状況が変わったり、新しく登場するキャラクターによって、その関係が動き続けるんですけど、少なくとも第7話の段階で、一度固まったように見えるんです。
当然、そのバランスは非常にあやういものではあるんですけど、そのあやうさを彼らが今後、どう補完していくのか。
これから先の物語を楽しんでいただく上でも、第6話までを一気見して、そのあとで第7話を観ていただければいいかなと思いますね。

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