暑すぎます。みなさん、熱さ対策は大丈夫ですか? 片岡愛之助です。
お盆は帰省して田舎でのんびり。そんな方も多かったと思います。
僕は夏場はずうっと芝居続きで、ここ何年も大阪・堺の実家には帰っていません。帰ったところで、誰もいないんですけどね。
実の両親はすでに2人とも亡くなっています。
僕は20代後半、わずか2年の間に、父方の祖父、母方の祖父、実の母、実の父と4人も肉親を亡くしました。小学生のころから飼っていた犬のクロまで亡くなりました。
歌舞伎の舞台に穴を空けるわけにはいきませんでしたから、本当につらかった。今思い出しても、あれ以上つらかった日々はございません。
僕の唯一の肉親は、もう妹だけです。
実はつい先日、その実の母の十七回忌だったんです。
僕は、残念ながら東京・新橋演舞場の『もとの黙阿弥』に出演中で、お墓参りにさえ行けない状況でした。でも、いつも両親には心の中で「ありがとう、見守っていてね」と手を合わせているんです。
気持ちは通じていると思いますよ。怒ってはいないと思います。母は僕が舞台に立っていることが好きだった人ですし。実際、ずっと父と一緒に見守ってくれているとも思います。
9月はこの『もとの黙阿弥』が大阪松竹座で1カ月間公演になるので、今月末には大阪入りします。思う存分、お墓参りに行ってきたいと思っております。
東京・新橋演舞場「もとの黙阿弥」
『貫地谷しほりさんとの劇中劇でのワンシーンです。面白いですよ』(C)松竹
実際、僕は趣味と言われるくらい、お墓へ行って両親らと話をしてくることが好きなんですね。
歌舞伎公演があったりで、命日など特定の日には仕事で行けないこともありますが、時間が許す日があれば、お墓参りに行くようにしています。3日と空けず行くときもあれば、数カ月行けない日もあります。
ですから僕の趣味は、お墓参りと言っても良いかと思います。
あと、インセンスですか。
お香を焚くのが好きなんです。
楽屋でも、いつも焚いています。お香の匂いがすると愛之助がいるって言われるくらい。毎日焚いています。
本当に気分がリラックスできますね。
わずか数百円で楽しめるし、みなさんにもオススメです。
どんな匂いか知りたいですか?
ヒントは、24番です(笑)。
お盆も休まず放送中のBS日テレ『片岡愛之助の解明! 歴史捜査』(木曜日21時~)。8月20日の放送では、日本のダ・ヴィンチ、平賀源内に迫ります。
BS日テレ「片岡愛之助の解明! 歴史捜査」
『収録終わりのスタジオで決めてみました。決まってますか?(笑)』(C)永田理恵
平賀源内と言えば、エレキテルの発明で有名ですが、暑い夏を乗り切るために“土用丑の日=うなぎを食べる日”を発案したのも源内だそうです。
機転ですよね。頭が良い人です。商売人に徹していたら、紀伊国屋文左衛門くらいの商人になっていたかもしれません。
あまり知られていませんが、歌舞伎の中にも江戸時代の科学が出てくるお話がいくつかあるんですよ。
市川宗家の歌舞伎十八番のひとつ『毛抜』では、お姫様の髪が逆立つという奇病の原因が、天井に隠された大磁石だったという、“仕掛け”と種明かしが出てきます。
僕はこのお芝居を、成田屋のおじさま(十二世市川團十郎)に手ずから教えていただきました。
これも懐かしい思い出です。
おしまいに――。
わたくしが出演中の2本のレギュラードラマ、見てくださっていますか?
8月19日放送の『刑事7人』(水曜日21時~、テレビ朝日系)では、鑑識出身という特技を活かした刑事役で登場させていただいております。
NHK BSプレミアムのドラマ『ある日、アヒルバス』(日曜日22時~)でも、二代目ボンボン社長、頑張ってますよ。楽しんでください。
お盆は終わりましたけど、お墓参りがまだというみなさん、気持ちは通じます。
ご先祖のご供養もお忘れなく!
片岡愛之助
プロフィール
1972年3月4日生まれ。’81年12月、十三世片岡仁左衛門の部屋子となり、南座『勧進帳』の太刀持で片岡千代丸を名乗り初舞台。’92年1月、片岡秀太郎の養子となり、大阪・中座『勧進帳』の駿河次郎ほかで六代目片岡愛之助を襲名。’07年12月上方舞・楳茂都流の四代目家元を継承し、三代目楳茂都扇性(せんしょう)を襲名した。