息子はバレーボール部に入部し、日曜日は小学校時代の親友とゴルフクラブに通い、週2回の体育の授業を受けているのですが、そこに水泳の授業が加わることになりました。先日テストがあり、なんと息子は不合格。不合格者は水泳の時間1人だけ別の運動をしなければならず、寂しい思いをしてしまいます。体育のアスティエ先生に「なんとか1月までに泳げるようにさせてやってほしい」と依頼され、自分はカナヅチなので、水泳教室を探すことに。隣の区に市営プールがあり、そこの教室が人気だというのを聞きつけ、通って交渉し、満員だったのですが、なんとか潜り込ませることに成功しました。
簡単に書いていますが(笑)、仏語が苦手なので、それはもう必死でしたよ。本来なら、泳ぎくらい親が教えればいいのですが、カナヅチなのでそれが出来ないわけです。せめて教室くらい探すのが親の務めですね。フランスという国は何事も粘らないといけないのです。この国は必死なものを見捨てないところがあるので、諦めなければなんとか道が開けます。なかなか素敵な市営プールなんです。淡い青色の壁に水面の光が輝き、子供たちの笑い声が弾けています。同じように泳げない子達が必死で泳いでいます。きっと息子も泳げるようになりますね。私も一緒に習えばいいんですけどね……(笑)。 さて、水泳で頑張ったらお腹が空きます。
今回のムスコ飯は、函館名物、「カリフォルニアベイビー」のシスコライスの登場です。ボリューミーで手軽、お子さんに喜ばれること請け合いです。 材料:お米、バター、にんじん、コーン、グリンピースのミックスベジタブル(辻家では瓶詰の水煮ミックスベジタブルを使用)、塩・こしょう、フランクフルトソーセージ、缶詰のミートソース(笑)。 ご覧の通り、かなりのジャンクフードです。シスコというのはサンフランシスコのことらしいです。私が高校生の頃に通いつめたカフェなんですが、いまだにファンが多く、元気に営業が続いています。いわゆるミートソースのスパゲティをお米で、というコンセプトなんですが、わかりやすくうまく、息子の大好物の一つです。レシピは2種類用意しました。・カリベビ・に電話して聞いた、本場のレシピ。私が自宅で再現する辻家のレシピの2つです。食べ比べてください。
まずは、本場のレシピから。ごはんを2合炊きます。炊き上がったらバターを30g入れてよく混ぜ・トおきます。1時間以上ほったらかしておくと、バターがお米になじんでうまさが出ます。ミートソースは鍋で温めておいてください。フライパンを熱し、サラダ油でミックスベジタブルを炒めます。そこに炊飯器からバターライスを投入し一緒に合わせながら炒め、最後に塩・こしょうしてください。別のフライパンで細かく切れ目を入れたフランクフルトを同じくサラダ油で炒め(本場は2本です)、ライスの上にのせます。さらにミートソースをかけて完成。本場は横にポテトサラダが添えてあります。
さて、辻家のほうは、瓶詰の水煮ミックスベジタブルを使います。炊き上がってバターを入れるときに、ミックスベジタブルを一緒に入れて混ぜるだけ、ライスは炒めません。つまり工程が1つ減りますし、油の量も半分になりますね。よく混ぜればごはんパートは出来上がりとなります。塩・こしょう、醤油などをお好みで加え味を調えたら、蓋をして寝かせます。味がなじんだ段階で、先のごはんを皿に盛り、炒めたフランクフルトを並べ、ミートソースをかけて完成となります。
バターライスとミートソースのダブルパンチが少年たちの胃袋を魅惑しますよ。手軽でおいしい函館シスコライス、ぜひ、このB級グルメ、お楽しみください。日曜日のランチにおすすめです。
ボナペティ!
エッセイで紹介されたレシピは、
辻仁成 子連れロッカー「希望回復大作戦」ムスコ飯<レシピ>で公開中!
辻仁成/つじ ひとなり
作家。東京都生まれ。’89年「ピアニシモ」ですばる文学賞、’97年「海峡の光」で芥川賞、’99年「白仏」で、仏フェミナ賞・外国小説賞を受賞。映画監督、演出家としても活躍。現在はシングルファザー、パリで息子と2人暮らし。