レシピ本『パリのムスコめし』が発売になり、東京の書店でトークイベントをやりました。お越しいただいた皆様ありがとうございます。おかげさまで、とても和気藹々とした雰囲気の中、トークすることが出来ました。
でも、パパが短期間日本に仕事で出張している間、息子はパリで一人お留守番。ベビーシッターさんに泊まりこんでもらうこともありますが、息子は、出来れば友達の家がいいみたいです。近頃は小学校時代からの親友のアレクサンドル君の家に泊まります。離婚の直後は幸福そうな家族を避けていましたが、最近は、積極的に幸福家族に参加するようになってきました。とくに、アレクサンドル君の家には、息子のお泊まり道具や寝間着などが常備されていますし、そこのお母さんであるリサは息子のことを「シュシュ」(私のお気に入り)と呼んで可愛がってくれます。子供には親に言えない本心がありますね。父子であっても、パパには言えない秘密があります。彼はリサにいろいろと心の悩みを打ち明けているみたいです。こっそりとリサから教えてもらうわけです。
思春期ですからね、ただ大きくなればいいというものじゃないでしょう。心と体のバランスが大事です。本当だったら難しい年頃なんです。でも、彼はいい子をいつも演じています。演じるというと語弊がありますが、がんばってるパパに出来るだけ迷惑をかけたくない、と思っている節があるようです。弱音を吐きません。でも、リサには、ポロッと悩み事を呟くわけです。母性の力は偉大です。これはしっかりと参考にさせてもらっています。
「辻さん、彼はね、辻さんに人間ドックに行ってほしいみたいですよ。パパの体が心配だって、打ち明けられました」
という具合に。心配させているんだ、と思えば、多少お酒の量も減ります。神様はちゃんとアレクサンドル君の家族を私どものすぐそばに配置してくださったのです。おかげで、この2年、大きな問題もなく、なんとか日々を乗り越えてくることが出来ました。一人ですべてを引き受けるのには限界があります。助け合い、支え合う。いただいた愛や優しさに、いつか、それに負けない愛や優しさを返さないといけませんですね。
さて、本日のムスコ飯は「男の黒いコロッケ」をご紹介します。材料4人分:じゃがいも550g、玉ねぎ80g、ごはん150g、マヨネーズ大3、刻んだ生パセリ少々、ツナ缶70~80g、けしの実80~90g、塩、黒こしょう適量、山椒、醤油少々。パルミジャーノチーズ大2。パプリカソース材料:パプリカ大1、ケチャップ、マヨネーズ、オリーブオイル、1:1:1の割合。タバスコ8滴程度(お好みでOK)。
じゃがいもを小さくカットし、竹串がすっと通る軟らかさまで、茹でる。ボウルに入れ、フォークでじゃがいもを丁寧に潰し、ツナとパセリ、マヨネーズ、パルミジャーノを入れてよく混ぜる。次にごはんを入れ、すべてが混ざったら、最後に微塵切りの生の玉ねぎを入れて再度混ぜあわせます(生だと食感が出ますね)。手で捏ね、12個のボールコロッケを作る。小麦粉をふり、卵(この2点分量外)に潜らせ、パン粉の代わりにけしの実をまぶし、170度の油で揚げる。表面がカリッと固まればOKです。2分程度かな。ソース材料を混ぜ、お皿に円形に敷き、その上に黒コロッケを並べて、野菜などで装飾し、完成です。
けしの独特の食感と風味、やみつきなること、請け合いですよ。
ボナペティ!
エッセイで紹介されたレシピは、
辻仁成 子連れロッカー「希望回復大作戦」ムスコ飯<レシピ>で公開中!
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