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人間は、広い世界のほんの一部で生きている。
全てを知ることはできない。
世界のどこかには、自分の知らない何かを熱狂的に愛してる人がいる。研究する人がいる。
そんな人が集まると、小さなブームになる。
誰かの世界を、少しだけ覗いてみちゃおう。
それが「うさこの覗いた世界」なのだ…!

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京都の魂「祇園祭」。
夏の風物詩として知られ、7月1日から30日まで7月いっぱい行うというモンスター級ジャパニーズフェスティバルである。
もちろん連日連夜どんちゃん騒ぎが続くような浮かれた祭ではなく、あらゆる神事を執り行うための一ヵ月だ。
それもそのはず、祇園祭は日本各地が疫病に見舞われた平安時代のある年
その災厄を退けるべく京の都に66本の鉾(ほこ)を立てて神を祀ったのが始まり。

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それから1100年の間形を大きくしながら今日まで続けられてきたのである。
多少の台風や豪雨ごときじゃ中止にはならない。
今年、台風11号が接近した際も「山鉾の上に乗るときは命綱着用」という条件付きで開催された。
コレラが流行った時でさえ、中止ではなく「延期」。

命懸けすぎるわ。

どれだけ京都の人が祇園祭に魂を注いでいるかが分かる。
とはいえ、応仁の乱や第二次世界大戦といった人間界の災いに邪魔され中止になることもあった。
1100年…。
今は2015年…

なんと西暦の半分以上だ。

豊臣秀吉が京の都市整備を進める中で祇園祭がスムーズに開催できるようにいろんな取り決めをしたり、新選組は祇園祭で賑わうなか池田屋を襲撃したりと
歴史の中で祇園祭は幾度となく登場する。
わたしたちと歴史上の人物を繋ぐひとつのキーワードとなっているのだ。

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わたしは今回京都通に連れられて山場の7月15日に行われた「前祭(さきまつり)」の「宵山」に突撃した。
山鉾に吊られた提灯が灯り街を照らし、祇園囃子が流れ…お祭の最高潮だ。
見せ場である宵山には国内だけでなく世界中から観光客が訪れる。
ムスリムの女性が頭巾と浴衣を合わせて着ていたり、
背の高い欧米人のちょっと丈が足りてない浴衣姿を見られたりと
愛される日本文化が垣間見えてうれしい。
徐々に更けてゆく街、人でいっぱいの通りをゆっくり歩きながら
高くそびえる鉾を見て囃子を聞き、祭を五感で感じながら“夏らしさ”にうっとりする…。

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…あれ?

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天ぷら屋だ…!

 

ここは祇園にある天ぷら「八坂圓堂」さん。

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なんということでしょう。
京都通に連れられていたら気が付けばこんな素晴らしいところに辿り着いてしまった…!

 

祇園祭から天ぷらというなんとも上級志向の京都をいただきます。

 

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旬のアスパラ

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姫とうもろこし

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うすい豆のコロッケ

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旬を逃がさないように衣で封じ込めるかのような、繊細な天ぷら…!
最高級の綿実油で揚げられた新鮮な野菜や魚は、
さくっと香ばしく、口の中に入れると衣で封じられたその甘みを惜しげもなくさらけ出す。

 

天ぷらって…衣という正装をまとってわたしたちの元まで来てくれて
口の中で自分の全てを解放してくれる

そんなセクシーな食べ物だったんだね…?(真顔)

 

お茶漬け

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トマトのシャーベット

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は~~~~~
なんて幸せなひとときなんだ~~。

 

浮かれすぎて前半の歴史ある祇園祭ヒストリーを
忘れつつあるよ~~~。

 

帰りには祇園祭名物であるちまきをいただきました。

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何も知らないわたしはてっきり和菓子だと思ってよだれ垂らしていたのですが、食べられません。
笹の葉で作られたおまもりです。
厄除けや災難除けのものが多いのですが、これはなんとかわいい梅があしらわれた縁結び…!
これは来たわ…。
2015年下半期勝ったわ…!

 

伝統に触れて、おいしいものを食べて、縁まで結んじゃう…。
かけがえのない夏の思い出…。
そうだ、京都に行こう。

米原千賀子

ライター兼イラストレーター。へっぽこな見た目とは裏腹にシビれる鋭いツッコミで世の中を分析する。人呼んでうさこ。常に今日の夜ごはんのことを考えている食いしん坊健康オタクな一面も。webマガジンNeoLなどで連載中。

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